桜の開花予想をしてみませんか?

今年も全国各地から桜の便りが届きました。
1月下旬に開花予想が始まり、桜前線の北上とともに、
3月中旬から5月初旬まで
次々に開花・満開宣言が発表されます。
桜を追ってワクワクする3ヶ月余り、
やはり桜は私たちにとって特別な花のようです。


全国58地点に気象台や測候所の定めた桜の標本木があります。
奄美地方と沖縄地方ではカンヒザクラという早咲きの桜が、
北海道の道東・道北では
エドヤマザクラやチシマザクラが標本木ですが、
その他の48地点はソメイヨシノが標本木となっています。

標本木は気象台の敷地やその周辺にあり、
気象台の職員が出かけていって観察して、
5~6輪以上咲いた日を開花日、80%以上のつぼみが開いた日を満開日
として発表しています。

2010年から気象庁に代わって、
民間企業や一般団体が独自の予測法を使って、早咲きの桜を除く、
標本木や自治体・公園などの桜の開花日を予想しています。
気象庁では開花予想はしませんが、生物に及ぼす
気候の影響を知ることを目的とした桜の開花観測を続けています。
気象庁さくら開花状況をご覧下さい)

 

では、桜の開花予想はどのようにするのでしょうか?
まず、桜(ソメイヨシノ)の開花の仕組みから説明します。
桜の花芽(将来花になる芽)は前の年の夏に作られますが、
葉が作る休眠物質(開花を抑制する物質)の働きで、
ある程度以上成長しないで秋に休眠状態に入ります。
休眠した花芽は一定の期間低温にさらされると休眠から目覚め、
開花の準備を始めます。そして、春になって気温が上昇すると、
花芽の成長が加速して、つぼみが膨らみ開花を迎えます。

桜が開花するためには、
休眠期間の寒さと目覚めた後の暖かさが必要です。
たとえば、秋から冬の気温が低ければ早く目覚め、
目覚めてから開花の準備をする期間の気温が高いと開花が早まります。
しかし、早く目覚めてもその後も低温が続けば、
開花は足踏み状態となります。

 

日本は南北に細長いので、
地域によって開花時期を決める要因が異なります。

●温暖な九州では、休眠からの目覚めの早さが、
そのまま開花の早さにつながります。
●四国と本州の関東以南では、休眠からの目覚めの時期と、
それ以降の気温の両方が開花に大きく影響します。
●北日本では、冬の気温が低く毎年1月半ばには休眠から
目覚めているので、2月以降の気温で開花の時期が決まります。
●奄美・沖縄地方は、低温にさらされる期間がないため、
ソメイヨシノは咲きません。

 

前回のコラム「マイ標本木をみつけましょう!」を読んでいただけましたか?
身近にあるソメイヨシノを選んでマイ標本木を決め、
去年と今年の秋から冬(11月から1)の気温の推移を比べて
「目覚めの時期は早まりそう?遅くなりそう?」 23月の気温から、
「開花の準備は順調に進みそう?やや停滞気味?」などと、
マイ標本木の開花予想をしてみてはいかがでしょうか?
桜の開花を待つ楽しみがひとつ増えるかもしれませんね。

2018年3月31日 東寺(京都)の夜桜
月2回の満月=ブルームーンとの競演(撮影:32号)

<66号>

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