天気予報の始まり

突然ですが、質問です!

天気予報がなくなったら、困りますか?

「今日、洗濯物を外に干してもいいのかしら?」
「明日、川へバーベキューをしに行くけど、天気はどうかな?」
「漁に出るのに、海は荒れないだろうか?」

もしかしたら、困らないという人もいるかもしれませんが、多くの人にとって天気予報は必要な情報だと思います。

天気予報はずっと昔からあったのでしょうか?

●天気予報の始まり
前回の記事「気象記念日」の中で、明治8年6月1日に東京気象台で気象観測が始まったことを書きました。その8年後、明治16年(1883年)3月1日に初めて天気図が作られ、毎日印刷配布されるようになりました。その翌年、明治17年(1884年)6月1日に初めての天気予報が出されたのです。発表された内容は以下のとおり。

午前6時発表
「全国一般風ノ向キハ定リナシ天気ハ変リ易シ 但シ雨天勝チ」(※1)

午後2時発表
「変リ易キ天気ニシテ風位定ラス 且雨降ル地方モアルベシ」(※2)

午後9時発表
「中部及ビ西部ハ晴或ハ好天気ナルベシ 北部ノ一部ハ天気定ラス 一部ハ曇天又ハ烟霧ナルベシ」(※3)

カタカナ表記が時代を感じますね。

この初めての天気図作成、初めての天気予報発表は、ドイツのエルヴィン・クニッピングさんが行いました。明治4年に来日したのですが、その後、内務省の御雇外国人(おやといがいこくじん)となり、明治15年に東京気象台に入りました。暴風を知らせる暴風警報を促進する建白書を明治政府に提出した人でもあります。そして、明治16年(1883年)5月26日に東京気象台にて日本で初めての暴風警報が発表されました。

この時の気象状況は、「全国的に気温が上昇して気圧は降下し、四国南岸に中心を持つ745mmHg(993mb=993hPa)の低気圧によって、四国、九州方面は風が強く、高知における24時間雨量は102mmに達した」そうです。

●日本で初めて新聞に天気予報が!
現代では、新聞、テレビ、ラジオ、インターネットなどで、いつでも天気予報を知ることができます。電話の177番でも天気予報を聞くことができます。

天気予報がスタートした頃はどのように知らせていたのでしょうか?
なんと、交番に掲示されたそうです。

1882年から福澤諭吉さんが創刊した「時事新報」では、「天気報告」として前の日の天気を掲載しました。その後、日本で初めて新聞紙上に天気予報を掲載しましたが、この意欲的な試みはなかなか庶民に馴染まれなかったそうです。そこで、明治26年(1893年)元旦の紙面より、イラスト入りの天気予報を始めて、これが好評を博したとのこと。


時事新報は、当時唯一の日刊紙でした。晴れ、曇り、雨を表すイラストが日々の新聞の「氣豫」のコーナーに小さく掲載されています。中には「雨又は雪」を予報するイラストもありました。雪の日のスタイルは、蓑笠(みのかさ)、そして、足元にはわらじを履いているように見えます。パッと見てわかりやすいこと、イラストの面白さなどが好評を博した理由でしょうか。

その後、大正14年(1925年)にラジオによる天気予報が、昭和28年(1953年)にテレビによる天気予報が開始されてます。

天気予報の始まりは、今から131年前のことなのですが、日本や世界の長い歴史からみると、時間的には歴史は浅いと言えるかもしれません。しかし、現在の予報技術は格段に発展しました。やはり、私たち人類にとって必要な情報だからなのでしょう!

<参考文献>
気象庁ホームページ、慶応義塾ホームページ「ステンドグラス」、時事新報


《サニーちゃんのお天気メモ》
当時の天気予報を現代風に言い直すと、こんな感じかな?

(※1)
「全国的に風向きは一様でなくて雨も降りやすく、変わりやすいお天気でしょう」

(※2)
「風向きは一様でなく変わりやすいお天気で、ところにより雨が降るでしょう」

(※3)
「中部地方以西の天気は晴れて良い日和になるでしょう、
北部の一部では天気は変わりやすく、曇りまたは煙霧のところもあるでしょう」

 

<18号>