天気予報の始まり

突然ですが、質問です!

天気予報がなくなったら、困りますか?

「今日、洗濯物を外に干してもいいのかしら?」
「明日、川へバーベキューをしに行くけど、天気はどうかな?」
「漁に出るのに、海は荒れないだろうか?」

もしかしたら、困らないという人もいるかもしれませんが、多くの人にとって天気予報は必要な情報だと思います。

天気予報はずっと昔からあったのでしょうか?

●天気予報の始まり
前回の記事「気象記念日」の中で、明治8年6月1日に東京気象台で気象観測が始まったことを書きました。その8年後、明治16年(1883年)3月1日に初めて天気図が作られ、毎日印刷配布されるようになりました。その翌年、明治17年(1884年)6月1日に初めての天気予報が出されたのです。発表された内容は以下のとおり。

午前6時発表
「全国一般風ノ向キハ定リナシ天気ハ変リ易シ 但シ雨天勝チ」(※1)

午後2時発表
「変リ易キ天気ニシテ風位定ラス 且雨降ル地方モアルベシ」(※2)

午後9時発表
「中部及ビ西部ハ晴或ハ好天気ナルベシ 北部ノ一部ハ天気定ラス 一部ハ曇天又ハ烟霧ナルベシ」(※3)

カタカナ表記が時代を感じますね。

この初めての天気図作成、初めての天気予報発表は、ドイツのエルヴィン・クニッピングさんが行いました。明治4年に来日したのですが、その後、内務省の御雇外国人(おやといがいこくじん)となり、明治15年に東京気象台に入りました。暴風を知らせる暴風警報を促進する建白書を明治政府に提出した人でもあります。そして、明治16年(1883年)5月26日に東京気象台にて日本で初めての暴風警報が発表されました。

この時の気象状況は、「全国的に気温が上昇して気圧は降下し、四国南岸に中心を持つ745mmHg(993mb=993hPa)の低気圧によって、四国、九州方面は風が強く、高知における24時間雨量は102mmに達した」そうです。

●日本で初めて新聞に天気予報が!
現代では、新聞、テレビ、ラジオ、インターネットなどで、いつでも天気予報を知ることができます。電話の177番でも天気予報を聞くことができます。

天気予報がスタートした頃はどのように知らせていたのでしょうか?
なんと、交番に掲示されたそうです。

1882年から福澤諭吉さんが創刊した「時事新報」では、「天気報告」として前の日の天気を掲載しました。その後、日本で初めて新聞紙上に天気予報を掲載しましたが、この意欲的な試みはなかなか庶民に馴染まれなかったそうです。そこで、明治26年(1893年)元旦の紙面より、イラスト入りの天気予報を始めて、これが好評を博したとのこと。


時事新報は、当時唯一の日刊紙でした。晴れ、曇り、雨を表すイラストが日々の新聞の「氣豫」のコーナーに小さく掲載されています。中には「雨又は雪」を予報するイラストもありました。雪の日のスタイルは、蓑笠(みのかさ)、そして、足元にはわらじを履いているように見えます。パッと見てわかりやすいこと、イラストの面白さなどが好評を博した理由でしょうか。

その後、大正14年(1925年)にラジオによる天気予報が、昭和28年(1953年)にテレビによる天気予報が開始されてます。

天気予報の始まりは、今から131年前のことなのですが、日本や世界の長い歴史からみると、時間的には歴史は浅いと言えるかもしれません。しかし、現在の予報技術は格段に発展しました。やはり、私たち人類にとって必要な情報だからなのでしょう!

<参考文献>
気象庁ホームページ、慶応義塾ホームページ「ステンドグラス」、時事新報


《サニーちゃんのお天気メモ》
当時の天気予報を現代風に言い直すと、こんな感じかな?

(※1)
「全国的に風向きは一様でなくて雨も降りやすく、変わりやすいお天気でしょう」

(※2)
「風向きは一様でなく変わりやすいお天気で、ところにより雨が降るでしょう」

(※3)
「中部地方以西の天気は晴れて良い日和になるでしょう、
北部の一部では天気は変わりやすく、曇りまたは煙霧のところもあるでしょう」

 

<18号>


 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうすぐ気象記念日だよ!

6月1日は何の日か知っていますか?

気象記念日です。
今年で第140回目を迎えます。

ということで、140年前を振り返ってみましょう。

今から140年前、明治8年(1875年)の6月1日に東京で気象と地震の観測が始まりました。

●気象台の設置
明治3年(1870年)に測量の仕事で来日したイギリス人の測量助師ジョイネル(※1)さんが気象観測の必要性を政府に申し述べ、明治6年5月に工部省測量司は気象台を設けることを決めました。その気象器械はイギリスから調達したのですが、その調達にあたったシャーボー(※2)さんは「日本で測量をするには、まず地震観測が必要だ」と考えました。日本は地震が多いので、気象を観測する測点が移動しては困るからです。そして、地震計はイギリスにはなかったため、イタリアから持ち込まれました。

●気象観測の始まり
明治8年(1875年)の5月に器械の据付けが完了しました。その場所は、内務省地理寮構内(※3)です。その翌6月から観測が始まりました。初めは、御雇外国人(※4)ジョイネルさんが一人で、1日3回の気象観測を行いました。地震があれば、土蔵の中の地震計まで飛んで行ったそうです。

気象記念日はこの気象観測の始まりを記念したものなのです。記念日は昭和17年に制定されました。

●気象台の歴史
このように日本での気象観測は140年の歴史があります。気象台の設置は、工部省によって計画され、内務省によって実現されました。東京気象台、中央気象台、そして気象庁になるまで組織はどのように変遷してきたのでしょう。

明治  7年    1月  工部省測量司は、内務省に移管
明治  7年    8月  内務省地理寮量地課と改称
明治  8年    6月  内務省地理寮量地課が東京気象台を設立(気象観測開始)
明治 20年    1月  中央気象台と改称
明治 28年    4月  気象事業が文部省に移管
昭和 18年 11月  運輸通信省に移管
昭和 31年    7月  中央気象台から、気象庁となる
平成 13年    1月  国土交通省の外局となる

気象庁となったのは、戦後なのですね。

さて、こちらの写真は気象科学館の入口に掲示されているもの。
気象観測が始まってから何年かすると、天気図や天気予報が作られるようになります。そのお話は次回に…

参考文献:気象庁ホームページ、気象百年史

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

実はね、日本で最初の気象観測は、函館気候測量所で行われたんだよ。明治5年8月26日、開拓使によってで観測を開始したのが最初なんだって。

(※1)ジョイネル (H.B.Joyner)。
□□□□□□明治3年に来日、明治4 年に工部省測量司に転属。

(※2)シャーボー(H.Scharbau)。
□□□□□□15ヶ月にわたり器械購入のため尽力した。

(※3)現在の港区虎ノ門2-10 ホテルオークラのあたり。

(※4)御雇外国人(おやといがいこくじん)とは、
□□□□□□日本の近代化に貢献すべく招聘された欧米先進国の専門家たちのこと。

〈18号〉

 

「くもり時々雨」と「くもり一時雨」の違いって、わかりますか?


「くもり時々雨」と「くもり一時雨」。
天気予報ではよく聞くフレーズですよね。
でも、みなさん、この違いってわかりますか?

この「時々」と「一時」という言葉、
実は、気象庁が天気予報などで用いる“予報用語”として定めたものなのです。

「時々」と「一時」の違い、それは『現象が発生する時間の長さ』の違いです。
気象庁では、現象が断続的に発生しその発生した時間が予報期間の2分の1未満の時は「時々」、現象が切れ間なく発生しその時間が予報期間の4分の1未満の時は「一時」としています。
(ちなみに、「連続的」とは『現象の切れ間が1時間未満の場合』、「断続的」とは『現象の切れ間がおよそ1時間以上ある場合』です。)

ここで、ある一日を対象にした天気予報が「くもり時々雨」と「くもり一時雨」の場合を比べてみましょう。

ある日の予報が「くもり時々雨」の場合、『くもってはいるものの時折雨が降り、その降っている時間は(一日の半分である)12時間未満』、ということになります。

「くもり時々雨」は、このイメージのように『雨は止み間がある(断続的)けど、期間のうち全体の2分の1未満の時間だけ降って、それ以外の2分の1以上の時間はくもる。つまり、くもっている時間の方が長い。』ということになります。

一方、「くもり一時雨」の場合は、『くもってはいるものの一時的に雨が降る時間帯がある。(雨が降る時間は、1日の4分の1である6時間未満。)』ということになります。

「くもり一時雨」は、上のイメージのように『この期間の4分の1が連続して雨降りになり、それ以外の期間はくもっている。』状態です。
このように図にして比べてみると、「くもり時々雨」の方が雨の降る時間が長いのがわかりますね。

では、「くもりのち雨」という場合はどうでしょう?

「のち」という言葉も気象庁が定めた“気象用語”です。この言葉は、『予報期間内の前と後で天気現象が異なる時、その変化を示す』ために使います。
ということは、ある日の予報が「くもりのち雨」の場合は、「はじめはくもっているけど雨になる」ということになりますね。でも、天気予報では、この変化をできるだけ具体的な時間帯を示すようにしているので、例えば、その日の大局的な予報が「くもりのち雨」であっても昼過ぎから雨になる場合は、「くもりのち雨」とは言わずに「くもり昼過ぎから雨」という予報文になります。(※1)

どうですか?
天気予報で使われる言葉の意味、ちゃんと理解していましたか?

これから梅雨の頃には「くもり時々雨」や「くもり一時雨」という予報を聞くことが増えると思いますが、天気予報に使われる言葉の意味を知って、より上手に天気予報を活用してくださいね。

 

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)「くもり昼過ぎから雨」という予報だと『くもっている時間が期間の4分の1以上』あるけど、下のように『期間の初めからくもっている時間が4分の1から3分の1くらい』の場合は、『はじめのうち』という言葉を使うのよ。この『はじめのうち』という言葉も気象庁が定めた“予報用語”なのよ。

この場合は『雨はじめのうちくもり』ね。

でも、ここでも変化の時間がわかりやすいようになるべく具体的な時間帯で言うようにするので、「朝のうち」とか「夜のはじめ頃」という言葉を使うわ。例えば、ある日の天気予報で朝9時くらいまでがくもりの場合は、「雨、朝のうちくもり」、今夜に対する予報では「雨、夜のはじめ頃くもり」という言い方になるわね。

 サニーちゃん以外のイラスト:Copyright © いらすとや

〈23号〉

 

 

季節を「数字」で感じよう!

季節を数字で感じるとは、どういうことでしょうか。

1月・2月は「寒い」、7月・8月は「暑い」…カレンダーを見ただけで、そう感じますが、今回は、〇〇から数えて△△日目とかXX℃超えで季節感たっぷりのあの行事・あの現象…といったようなことを少々書いてみます。

まず、立春から数えて何日目という表現に、次のような有名な日があります。

<八十八夜>(※1
立春
から数えて88日目~今年は5月2
今まさに新茶シーズン~5月2日は、緑茶の日なんですね!

♪夏も近づく八十八夜~♪…と歌にあるように、この日に摘んだお茶の葉は霜をかぶらない良い茶葉と言われますが、八十八夜の別れ霜、九十九夜の泣き霜という言葉もあります。もう遅霜の心配がないから八十八夜の別れ霜ですが、記録では、東京でもこの日以降に遅霜があり得るようですし、特に標高や緯度が高い地方では、九十九夜の泣き霜という言葉のように、農作物への被害も心配されます。
<二百十日>(※1
立春から数えて210日目~今年は9月1
この日は台風シーズンを迎える時期、しかも関東大震災が発生した日であって防災の日とされたようですが、実際に9月1日に襲来した台風は昭和20年以降では1回だけで、台風の特異日(※2は、9月16日と26日と言われています。
二百二十日>
立春から数えて220日目~今年は9月21
上記のように、9月21日を中心に前後1週間程度は台風襲来の危険期間となりますが、昨今は、6月や10月に上陸したりするケースが増えているような気がします。

次に、1月1から、その日その日の最高気温を積算して400℃を超えると…スギ花粉が飛び、同じように、今度は2月1から、その日その日の最高気温を積算して600℃を超える、または、その日その日の平均気温を積算して400℃を超えると…ソメイヨシノが開花すると、まことしやかに言われています。

もちろん、自然の営みを数字だけで表すことは出来ないのですが、以下の表のように、これが意外とフィットしていることもありますので、天気の諺(ことわざ)くらいの拠り所になるかも知れません。何事も無視するのではなく「ホントなの?」と疑問を持つことや確認をすることも心掛けたいものですね!

前回、二十四節気の春の章について書きましたが、言葉や文字だけでなく、数字でも季節を感じることが出来ます。

皆様も、何かに疑問を持ってみませんか?
その結果、新しい法則…なんてモノが見つかるかもしれませんよ!

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)八十八夜二百十日雑節のひとつで二十四節気の補助的な位置づけなんだよ。生活や自然現象中心に行事や季節の区切りとして用いられていて、他に土用・節分・彼岸・入梅・半夏生(はんげしょう)などがあるよ。

(※2)ある天候が偶然とは思われないほど高い確率で現れる特定の日(デジタル大辞泉より)のことだよ。

<ゼフ>

 

 

お天気のことば<その5>七十二候(春の章)

約2年ご無沙汰していましたが、お天気の言葉シリーズ再開です。
まずは、過去4回を思い出してみましょう!
(クリックすれば各記事に飛びます)

お天気のことば<その1> 大雨の表現(2012/8/3)
お天気のことば<その2> 二十四節気(2012/9/6)
お天気のことば<その3> 日和(2012/11/10)
お天気のことば<その4> 風の表現(2013/4/27)

今回は、<その2>二十四節気(にじゅうしせっき)の続編で、
それを、さらに、ほぼ5日ごとに三分割初候・次候・末候)した
七十二候(しちじゅうにこう)について、春の章にあたる部分…
ここに絞って書いてみましょう。
・・

立春(りっしゅん)】2/4~2/18(※1
  初候 東風解凍(はるかぜ こおりを とく)(※2)
      東風が氷を解かし始める
  次候 黄鶯睍睆(うぐいす なく)
      鶯が鳴き始める
  末候 魚上氷(うお こおりを いずる)
      割れた氷の間から魚が飛び出す

雨水(うすい)】2/19~3/5
  初候 土脉潤起(つちのしょう うるおい おこる)
      雨で土が湿り気を含む
  次候 霞始靆(かすみ はじめて たなびく)
      霞がたなびき始める
  末候 草木萠動(そうもく めばえ いずる)
      草木が芽吹き始める

啓蟄(けいちつ)】3/6~3/20
  初候 蟄虫啓戸(すごもりむし とを ひらく)
      冬ごもりの虫が出てくる
  次候 桃始笑(もも はじめて さく)
      桃の花が咲き始める
  末候 菜虫化蝶(なむし ちょうと なる)
      青虫が羽化して蝶になる

春分(しゅんぶん)】3/21~4/4
  初候 雀始巣(すずめ はじめて すくう)
      雀が巣を構え始める
  次候 桜始開(さくら はじめて ひらく)
      桜の花が咲き始める
  末候 雷乃発声(かみなり すなわち こえを はっす)
      遠くで雷鳴が聴こえ始める

清明(せいめい)】4/5~4/19
  初候 玄鳥至(つばめ きたる)
      燕が南からやってくる
  次候 鴻雁北(こうがん かえる)
      雁が北へ渡っていく
  末候 虹始見(にじ はじめて あらわる)
      雨の後に虹が出始める

穀雨(こくう)】4/20~5/5
  初候 葭始生(あし はじめて しょうず)
      葦が芽を吹き始める
  次候 霜止出苗(しも やみて なえ いずる)
      霜が終わり稲の苗が出てくる
  末候 牡丹華(ぼたん はなさく)
      牡丹の花が咲く

・・
・・
どうでしょう。
漢字表現と読み方…これだけで、その季節感、
とくに春の章は、イキイキとした生命の息吹も加えて、
その情景が瞬時に頭に浮かぶような気がしませんか?

そして、
いずれも実際の季節と、よく符合していると感じませんか?
時は今、春分次候…つまり3月26日頃からの5日間で、
桜始開(さくら はじめて ひらく)とは…昨今の横浜近辺の
ソメイヨシノ開花日にピッタリですよね!

このような言葉表現で四季の移ろいを感じることが出来る…
日本人に生まれて感謝です!
次の機会には、夏の章七十二候を書いてみますね。

・・
・・
《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)二十四節気の日付は、いずれも2015年のものだよ。
    年によって多少異なることもあるよ。

(※2)七十二候の読み方は、いずれも一般的なものだよ。
    違う読み方もあるので注意してね。

<ゼフ>

 

 

冬山で出会った不思議な現象

日常の生活から離れて、山で出会った不思議な現象。
自然の作り出す造形に見とれてしまいます。

それでは、いくつかご紹介しましょう。

(※1)≪雪まくり≫
強風や斜面などで雪の塊が転がりロール状に大きくなる現象。

この写真は、木の枝から落ちた雪が転がっているところ。
自然に雪だるまが出来ていた・・・なんて、あったらステキですね!

(※2)≪霧氷≫
気温が氷点下の時に、

空気中の水蒸気や過冷却(かれいきゃく)水滴が樹木などに付着してできる氷。
冬に白い花が咲いたようで、寒さを忘れて見とれてしまいますね!


(※3)≪ブロッケン現象≫
高い山などで太陽を背にして立ったときに、

前方にたちこめた霧に自分の影が投影されて、その周りに虹色の輪が見られる現象。
さすがに、神々しくて思わず手を合わせてしまいますね!

※季節を問わず見ることができます。

ちょっと疲れたとき、
何か考えたいとき、
日常から離れたいとき・・・
厳しくも美しい冬山があなたに贈り物をくれますよ。

登山をするときは安全対策を万全に!
冬山の登山は特別な装備が必要です。

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)≪雪まくり≫
こんな条件が揃って出来るんだよ。

①雪の表面が凍るなどして上に積もった雪が離れやすくなっていること
②上に積もった雪にある程度粘度があること
③ちょうどよい強風、斜面の角度など

(※2)≪霧氷≫
生じ方によって、こんなふうに分類されるんだよ。

①樹氷(じゅひょう):風速が弱いとき(蔵王のアイスモンスターなど)
②粗氷(そひょう):風速が強いとき(九州でも雲仙などで見られる)
③樹霜(じゅそう):霜と同じ仕組み
また、過冷却水滴=氷点下でも凍らない水滴で、少しの刺激で凍るんだよ。

(※3)≪ブロッケン現象≫
日本では古くから御来迎(ごらいごう)とか、後光(ごこう)と呼ばれて、

宗教的に崇められることもあるよね。

<35号>

 

今年の夏、新種の「ひまわり」が・・・

あけましておめでとうございます。
本年も、お天気コラムをよろしくお願いいたします。

さて、新年1回目は、「今年の夏、新種のひまわりが日本を席巻するかも知れないよ」・・・といっても、植物のひまわりではなく、新しい気象衛星「ひまわり8号」の運用が始まるというお話しです。

前回のコラム<冬の「すじ状の雲」の話>の続編的なお話しにもなります(もう一度読んでね!)が、今や、天気予報などで必ず目にする衛星からの雲画像・・・日本では、1978年に気象衛星「ひまわり」の運用を開始して以来、現在は「ひまわり7号」が日夜活躍していて、気象観測や天気予報には無くてはならない存在になっています。何か宇宙から見守られているような安心感がありますね。

新しい気象衛星「ひまわり8号」は、昨年107日に種子島宇宙センターから打ち上げられ、東経140度あたりの赤道上空約36,000kmに静止(※1して、日本をはじめ、東アジア・西太平洋域内の観測を今年の夏をメドに開始する予定です。

昨年12月18日には、この「ひまわり8号」から、初画像が送信されました。

(気象庁HPより)

お気づきでしょうか?

そうです!
実際に見えてる可視画像(夜間は写りません)は、カラー画像なんです!
それに、解像度(デジタルカメラの画素数イメージ)も格段にアップしていますし、観測間隔も、現在の30分間隔から10分間隔(日本付近は、なんと2.5分間隔)に短縮されます。(※2

日本付近を拡大して、同じ日時頃の現在の可視画像と比較してみましょう。
こんなに拡大しても、十分に耐えられるんですね!

ひまわり8号の画像(気象庁HPより 昨年12月18日 午前11時40分)


ひまわり7号の画像(気象庁HPより 昨年12月18日 午前11時30分)

上段の新画像は、まだ陸地の縁取りや緯度経度表示などの加工もしていないのですが、それを差し引いても、カラー画像の迫力と、すじ状の雲は、その吹き出しから日本海を渡る様子が生き生きと、そしてクッキリと目に飛び込んで来るのではないでしょうか。それと、少々見にくいのですが、写真左端の下方、朝鮮半島の南、済州島の風下に渦が出来かけている状況も確認出来ます。(※3
カラーで、しかも高解像度なので、黄砂や赤潮、火山の噴火などの識別もつくのだそうで、さらに期待感が高まります。

また、一つの積乱雲の寿命は30分~60分と言われていますので、現在の30分間隔では、その発達状況が写し出せないことが多いのですが、2.5分や10分間隔になれば、その状況が目に見えます。観測レーダーなどの性能や技術の向上と相まって、今は予測できない局地的大雨や集中豪雨について、少し前に予測が出来るようになる可能性を秘めていると思うのです。

冒頭の「今年の夏、新種のひまわりが日本を席巻するかも知れないよ」・・・
このとおりになって、皆様が気象や防災により興味を抱いていただける流れや環境が出来て行くこと・・・これが私の初夢です!

《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1静止気象衛星と言いますが、実際には静止しているわけではなく、地球の自転と同じ向きに相対的に同じ速度で周回するため、 地上から見ると衛星は赤道上で静止しているように見えるんだよ。高度36,000kmって、地球と月の距離の約10分の1、国際宇宙ステーション(ISS)は、静止気象衛星のさらに100分の1の高度約400km・・・なんて覚えるといいかも知れないね。

(※2詳しくは、以下の気象庁の資料も見てね。さらに来年、「ひまわり9号」を打ち上げて、スタンバイする予定なんだよ。
http://www.data.jma.go.jp/mscweb/ja/himawari89/
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/himawari/2014_Himawari89.pdf

(※3この渦を「カルマン渦」と呼ぶんだよ。冬の寒気の吹き出しで、済州島 (Cheju-do) や屋久島の風下に見られることがあるけど、電線のうなりや旗のはためきの原因なので、日常生活でも馴染み深い現象なんだよ。

<ゼフ>

 

 

 

 


 

冬の「すじ状の雲」の話

天気予報を見ていると、「雲の様子を見てみましょう」という解説とともに雲の写真が登場することがあります※1
雲画像は「ひまわり」という人工衛星が宇宙からとった写真です。天気図を読むのはちょっとむずかしいけれど、写真なら「今日は日本中晴れてるな」「ここに大きな雲があるからここで雨が降っているんだな」などと一目で分かりますね。

大きな渦を巻いて中心に「目」のような穴が開いている雲・・・そう、これは台風。
夏から秋によく見る、おなじみの形です。

※2014年10月04日15時(赤外画像)台風18号が接近!
画像:気象庁HPhttp://www.jma.go.jp/jma/index.html)より

もう一つ、寒さがきびしくなるこれからの季節、分かりやすい雲の形があります。
それが冬の「すじ状の雲」。
日本海に、大陸から日本へ(北西から南東へ)とななめに細長い雲がすじのよう並んでいるのが分かるでしょうか?

※2014年1月13日15時(赤外画像)この日、日本海側は大雪に!
画像:気象庁HP(http://www.jma.go.jp/jma/index.html)より

この雲はどのようにしてできるのでしょう?

冬になると、大陸の北部に大きな高気圧ができて、冷たく乾いた空気(寒気)が日本に向かって流れ込んできます※2。 この冷たい空気が海の上を通るとき、温かい海から水蒸気を吸収して雲ができます※3。 大陸から日本に向かう強い風の流れにそって雲ができるので、「細長い雲がすじ状にならんだ形」になるのです。

「すじ状の雲」を見つけられるようになったら、その形をもう少し詳しく見てみましょう。
大陸の一番はじからすじ状の雲ができ始めるまでの距離を「離岸距離」と言います。実はこの距離からも大切なことが分かるのです。

※離岸距離…大陸の端から雲までの距離
画像:気象庁HP(http://www.jma.go.jp/jma/index.html)より

大陸のすぐそばから雲の筋が伸びているとき、つまり“離岸距離が短いとき”は上空の寒気が強いことが分かります。冷たく乾いた空気ほど、海の上に出てすぐに雲ができ始めるからです。逆に大陸から少し離れたところから雲の筋が伸びているとき、つまり“離岸距離が長いとき”は、寒気がそれほど強くないことが分かります。
離岸距離が短いとき=寒気が強いとき、日本海側の山沿いでは大雪になることがあるので注意が必要です※2

今度ニュースの天気予報で「筋状の雲」を見つけたら、大陸の方から冷たい空気が日本に向かってビュービュー吹き込んでいる様子を想像してみてください。そして、大陸と雲の間がどのくらい離れているかにも注目してみてください。
衛星画像を見ただけで「今日は寒い!」「日本海側は大雪かな?」と分かるなんて、なんだか気象予報士になったような気がしませんか?

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

※1…静止気象衛星「ひまわり」が宇宙から写真を撮っています。人の目で見たのと同じ「可視画像」の他、雲から放出される人の目に見えない赤外線をとらえる「赤外画像」や「水蒸気画像」も使って空気の流れや湿り具合を調べているよ。

※2…冬になると大陸北部の方で高気圧ができて、日本の東側に低気圧が発達することが多いの。天気予報では「西高東低」「冬型の気圧配置」などと呼んでいるよ。冬の気圧配置と日本海側で雪が降るしくみについては「冬の季節風 ~颪(おろし)の話~(2012年12月)」も読んでみてね。

※3…もちろん日本海の水は冷たい!でも大陸から吹いてくる空気はもっと冷たく乾燥しているから、海から水蒸気を吸収するの。水蒸気と雲については「夏の入道雲の話(2012年7月)」を読んでみてね。

<21号>

赤とんぼはバカンスがお好き?

ゆうやけこやけの赤とんぼ♪

という童謡でおなじみの赤とんぼ。

暑さもひと段落する9月頃から、
みなさんのお近くでも
みられるのではないでしょうか?(※1)(※2)

実は、赤とんぼって
国内だけでも20種ほどいます。
「赤くない赤とんぼ(アカネ属)」や
「赤とんぼ(アカネ属)ではない赤いとんぼ」
もいて、結構ややこしいんです。

そんな赤とんぼの代表格といえば、アキアカネ

なんと!このアキアカネ
夏の暑い時期には、高い山の上で
「避暑」しているのですって!ご存知でしたか?

夏に高地で過ごす理由には諸説あるのですが
3000m級の山々まで飛んでいくものもあるそうです。

羽化するのは6月ごろ。平地の水田や沼などです。

そこから、あんな小さな体で
3000mもの高さまで飛んで行くなんて、すごいですね!

そして、羽化したてのアキアカネの体は
赤くはなく橙色をしています。

高い山の上で涼んでいる(?)間に成熟して
きれいな赤色の体になり
涼しくなった頃、平地にもどってくるのです。

まさにお山の上でバカンス?

これからの季節、アキアカネを見かけたら
遠くの山からおかえり!
と声をかけてあげてくださいね。

ちなみに、アキアカネには
ナツアカネというそっくりさんがいます。

真夏に平地で赤とんぼを見かけたら
ナツアカネかもしれません。(※3)


《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)アキアカネは個体数が激減しているという報告もあるのよ。ちょっと心配ね・・・

(※2)アキアカネは気象台の生物季節観測の選択種目の一つなのよ。
みなさんのおうちの近くでは、いつごろかしら?参考にしてね。

(※3)アキアカネとナツアカネの見分け方
そっくりなので、難しい!でも、一番確実なのは、胸の模様よ。

でも、これでは捕まえてみないと分からないわね。
トンボは比較的捕まえやすいと思うけど、観察したら放してあげてね。
(おうちで飼育するのは難しいです。)
☆宮本拓海 いきもの通信Vol.428「アキアカネとナツアカネの判別方法」
http://ikimonotuusin.com/doc/428.htm

 <1号>

 

気温を言葉や図式で感じよう!

〇〇℃・・・直接温度計の表示を読む機会よりも、最近では、
猛暑日・真夏日・夏日・熱帯夜・冬日・真冬日などの
日本語(漢字)で表現する機会が多くなったような気がします。

それぞれ、以下のような意味合い(定義)があります。
猛暑日 : 一日の最高気温が、35℃以上の日
真夏日 : 一日の最高気温が、30℃以上の日
夏  日 : 一日の最高気温が、25℃以上の日
熱帯夜 : 夕方から翌日の朝までの最低気温25℃以上の夜
冬  日 : 一日の最低気温が、0℃未満の日
真冬日 : 一日の最高気温が、0℃未満の日

機械的な数値より日本語で表現する・・・
やはり、日本人は直接的な表現よりも間接的・婉曲的な表現を好み、
それで瞬間的に情景を感じ取ることが出来る素敵な民族なのですね。
日本語表現で、暑さや寒さも和らいで感じているかも知れません。

このうち、猛暑日は2007年4月から新しく使われ始めた言葉で、
それまでは、すべて真夏日の範疇だったのがさらに細かく分けられました。
このように、時代や気候の移り変わりで新たな括りが出て来ても、
それがまた、わりと心地よく文化になって根付いていくのです。

そして、これからは、気温40℃超えの時代が到来するでしょうか?
これ以上、暑さを感じる言葉が増えるのは遠慮したいですが、
仮に増えたとしても、たやすく受け入れられるでしょう。(※1)

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気温データを眺めていると面白い事象に出会うことがあります。
たとえば、北海道の中徹別(ナカテシベツ)で2009年4月30日に、
最低気温-2.7℃最高気温27.3℃を記録しました。
一日の中で、冬日夏日を両方記録するという珍しい日でした。

その他、観測史上の順位として、こんなデータもありました。
①  最高気温の最高:41.0℃(2013年8月12日 高知県江川崎)
②  最高気温の最低:-32.0℃(1936年1月31日 静岡県富士山)
③  最低気温の最高:30.8℃(1990年8月22日 新潟県糸魚川)
④  最低気温の最低:-41.0℃(1902年1月25日 北海道旭川)
・・・なんと、日本の最高気温も最低気温も、
プラス・マイナスはありますが、41℃なのですね!

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最後に、昨年の夏は暑かった・・・と言われていますが、
グラフや図で比較・検証してみましょう。
(下の画像をクリックして拡大してご覧ください)

上が昨年(2013年)、下が今年(2014年)、それぞれ、
6月1日~8月15日までの日ごとの観測地点の数です。(※2)

なお、右側の日本地図は、上が昨年6月~8月の3か月間、
下が今年7月19日~8月15日の4週間と期間が違いますが、
平均気温の平年差を表しています。

どうでしょうか。
猛暑日・真夏日の観測地点の数でも平均気温の平年差でも、
全体的には、昨年の夏が暑かったことを示しているようですが、
たとえば、6月上旬7月下旬~8月上旬にかけては、
今年の方が暑かったこともわかります。

〇〇℃・・・こんな数字の並びだけではわかりづらいことも、
観測地点の数に注目したり、分布を図式化したり、
ちょっと見方や発想を変えるとわかりやすくなります。

言葉で感覚的に暑さ寒さをイメージするのはもちろん、
きっと、こんな工夫も日本人の得意技ですよね。

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)猛暑日という新区分が出来る前に、酷暑日という呼び方が非公式に使われていたそうよ。もし、今後増えるとしたら・・・如何にも暑そうな炎暑日極暑日なども候補になるかな?(イヤだけどね)

(※2)全国の地域気象システム(アメダス)の観測地点は1300か所くらいあるんだけど、そのうち気温観測が可能な地点は930か所近くあるのよ。なので、2013年8月11日に297か所で猛暑日を観測したということは、全国の約3分の1近くにも及んだということになるのね。

 

<ゼフ>