夏休みは、気象台に行こう!

夏休みも真っ最中!
子ども達は元気いっぱい!
みなさん、夏休みを楽しんでしますか?

夏休みは、海へ、山へ、普段は行けないところにもあちこち出かけて、大忙し!
そんなお友だちも多いでしょうね。

ところで、みなさんは、自由研究の課題、決まりましたか?
「え〜、まだ、決まっていないよぉ…。」
そんなお友だちにお勧めなのが、気象庁をはじめ各地の気象台や観測施設などで開催される『見学デー』や『お天気教室』などのイベント。
普段は見ることのできない気象庁や気象台の施設の内部や仕事ぶりを見ることのできるチャンスです。すでに終わってしまっている地域もありますが、これから開催予定のイベントをご紹介しますね。

近くで開催される際には、ぜひ、足を運んでみてくださいね!

開催予定日 開催地 イベント名 開催場所 問い合わせ先 電話番号
7月27日(土) 北海道 網走地方気象台施設見学会 網走地方気象台 網走地方気象台総務課 0152-44-6891
7月27日(土) 栃木県 お天気フェア2013 宇都宮第2地方合同庁舎 宇都宮地方気象台総務課 028-633-2766
7月27日(土) 埼玉県 あついぞ!熊谷 お天気フェア2013~どうやってできるの?天気予報~ 熊谷地方気象台 熊谷地方気象台総務課 048-521-7911
7月27日(土) 長野県 夏休みお天気教室2013 長野地方気象台 長野地方気象台総務課 026-232-2738
7月27日(土) 新潟県 夏休みお天気フェア 新潟地方気象台 新潟地方気象台総務課 025-281-5873
7月27日(土) 静岡県 夏休み「お天気教室」 静岡地方気象台 静岡地方気象台総務課 054-286-6919
7月27日(土) 徳島県 夏休み!こども防災まつり 徳島県立防災センター 徳島地方気象台防災業務課 088-626-0676
7月28日(日) 岩手県 夏休み青空お天気教室2013〜自然の恵みと防災広場〜 八幡平市:岩手山焼走り国際交流村 盛岡地方気象台総務課 019-622-7869
7月28日(日) 熊本県 お天気教室 熊本地方気象台 熊本地方気象台総務課 096-352-7740
7月29日(月) 佐賀県 お天気教室2013 佐賀地方気象台 佐賀地方気象台防災業務課 0952-32-7026
7月30日(火) 富山県 気象台へ行こう! 富山地方気象台 富山地方気象台総務課 076-432-2332
7月30日(火) 兵庫県 H25夏休みお天気フェア 神戸市 神戸海洋気象台総務課 078-222-8901
7月31日(水) 滋賀県 【しが☆まなび☆発見!】夏休みお天気広場-気象と地震を学ぶ- ピアザ淡海(大津市) 彦根地方気象台総務課 0749-23-2582
7月31日(水) 長崎県 お天気教室 長崎海洋気象台 長崎海洋気象台業務課 095-811-4862
8月1日(木) 長野県 車山気象レーダ観測所施設公開 車山気象レーダ観測所 長野地方気象台総務課 026-232-2738
8月1日(木) 奈良県 夏休みお天気フェア2013 奈良市立中央図書館 奈良地方気象台総務課 0742-22-4445
8月2日(金) 山形県 お天気フェアやまがた2013 山形地方気象台 山形地方気象台総務課 023-624-1946
8月2日(金) 沖縄県 親と子とのお天気教室 沖縄市体育館 沖縄気象台業務課広報係 098-833-4283
8月3日(土) 山梨県 お天気フェア2013 甲府地方気象台 甲府地方気象台総務課 055-222-3634
8月3日(土) 石川県 お天気フェア 金沢駅西合同庁舎 金沢地方気象台総務課 076-260-1461
8月3日(土) 岐阜県 夏休みお天気教室2013 岐阜地方気象台 岐阜地方気象台総務課 058-271-4109
8月3日(土) 鳥取県 お天気ひろばin倉吉2013 倉吉市立図書館 鳥取地方気象台総務課 0857-29-1312
8月3日(土)~ 8月4日(日) 鹿児島県 防災お天気フェア かごしま環境未来館 鹿児島地方気象台総務課 099-250-9911
8月3日(土) 沖縄県 親と子とのお天気教室 宮古島市中央公民館大ホール 宮古島地方気象台防災業務課 0980-72-3054
8月6日(火) 滋賀県 【しが☆まなび☆発見!】夏休みお天気広場-気象と地震を学ぶ- 文化産業交流会館(米原市) 彦根地方気象台総務課 0749-23-2582
8月7日(水)~ 8月8日(木) 東京都 気象庁夏休み子ども見学デー 気象庁本庁 気象庁広報室子ども見学デー係 03-3212-8341(内線2117)
8月7日(水) 茨城県 お天気フェア2013つくば 気象研究所・高層気象台  気象測器検定試験センター 気象研究所企画室 029-853-8546
8月8日(木) 大分県 お天気フェア 大分地方気象台 大分地方気象台総務課 097-532-0667
8月10日(土) 茨城県 お天気フェア2013 水戸地方気象台 水戸地方気象台総務課 029-224-1107
8月10日(土) 鳥取県 お天気教室2013鳥取 鳥取地方気象台 鳥取地方気象台総務課 0857-29-1312
8月11日(日) 鹿児島県 防災お天気フェア 鹿児島県防災研修センター 鹿児島地方気象台総務課 099-250-9911
8月20日(火) 神奈川県 お天気フェア(子どもアドベンチャー) 横浜地方気象台 横浜地方気象台総務課 045-621-1563
8月24日(土) 東京都 清瀬お天気フェア2013 気象衛星センター 気象衛星センター総務部総務課 042-493-1111
8月24日(土)~ 8月25日(日) 神奈川県 横浜防災フェア 横浜赤レンガパーク 横浜地方気象台総務課 045-621-1563
8月24日(土) 千葉県 銚子地方気象台お天気フェア 銚子地方気象台 銚子地方気象台総務課 0479-22-0374
8月24日(土) 富山県 富山空港「空の日」記念イベント 富山空港 富山空港出張所 076-495-3075
8月24日(土) 愛知県 2013お天気教室 名古屋地方気象台 名古屋地方気象台総務課 052-751-5577
8月24日(土) 大阪府 関西国際空港「空の日」「空の旬間」空港内施設見学ツアー 関西国際空港 関西航空地方気象台総務課 072-455-1251
8月24日(土) 高知県 夏休みお天気教室 高知県立県民文化ホール 高知地方気象台総務課 088-822-8883
8月28日(水) 大阪府 夏休みミニ気象台2013 大阪市立科学館 大阪管区気象台 06-6949-6302
8月予定 和歌山県 夏休みこどもお天気広場 和歌山地方気象台 和歌山地方気象台総務課 073-432-0632
9月8日(日) 福島県 お天気フェア2013in四季の里 福島市「四季の里」 福島地方気象台総務課 024-534-6724
9月8日(日) 新潟県 空の日記念行事 新潟空港 新潟空港出張所 025-274-0564
9月21日(土) 千葉県 空の日航空教室 空港管理ビル 成田航空地方気象台総務課 0476-32-6555
9月22日(日) 千葉県 お天気フェア 航空科学博物館 成田航空地方気象台総務課 0476-32-6555
9月28日(土) 秋田県 お天気フェアあきた2013 秋田地方気象台 秋田地方気象台総務課 018-824-0376
9月28日(土) 東京都 空の日記念行事 羽田空港 東京航空地方気象台総務課 03-5757-9675
9月28日(土) 愛知県 空の日イベント 中部国際空港 中部航空地方気象台総務課 0569-38-0001
10月13日(日) 石川県 空の日記念日 能登空港 能登空港出張所 0768-26-1372

なお、イベント内容の詳細や事前の申し込みの有無などについては、各お問い合わせ先におたずねください。

 <23号>

紫陽花のひみつ

梅雨の時期、じめじめして
洗濯物も外に干せなくて
嫌だなあ・・・早く梅雨明けしないかなあ・・・
と思っている方も多いのでは?

そんな時、街のあちこちで見かける
色とりどりの紫陽花(あじさい)は
ひととき心癒してくれますよね。

この紫陽花、皆さんが「花」だと思っている
毬のような部分は装飾花と言って
おしべとめしべが退化したいわば飾りの花です。

花びらだと思っている部分は実は萼(がく)なのです。

本当の花、真花(しんか)は装飾花の下に
ひっそりと咲いています。

真ん中に小さく二輪咲いているのが真花です。

気象庁では、紫陽花の開花日も観測していますが
標本木(観察する対象の木)の真花が
2~3輪咲いた日を開花日としています。

ちなみに、今年の東京の紫陽花の開花日は「5月11日」でした。

さて、みなさんのお近くでは何色の紫陽花が多いですか?
私の住む周りには青色の紫陽花が多いようです。

この紫陽花の色は、土の性質により決まります。

酸性の土壌だと青色。アルカリ性の土壌だと赤色。

日本の土壌は火山灰を多く含んでいて
降水量が多いために、酸性土壌が多いそうです。

だから青色のものが多めだったのですね。

紫陽花の花の色は、どんどん移り変わっていきますよね?
これはいわゆる「老化」によって酸性の物質がたまってきて
青色から赤色に変化していくためです。

一つの株なのに様々な色の花が咲いているのは
この「老化」によるものと
根から吸い上げる水分量が場所により微妙に違うため。

いろいろなことが影響して、
あの美しい色合いになっているのですね。※1)

では、青い紫陽花の色を赤くしてみたくなったら?

土壌をアルカリ性にするため石灰をまいたり
鉢植えにして土を(アルミニウムイオンを含まない)
ピートモスのようなものに変えたり
リン酸を多く含む肥料をあげるなどすれば可能です。(※2)

望むようなきれいな赤色になるとはかぎらないそうですが、試してみてください。
でも、元々の自然の色で十分きれいなのですから
無理せず少しずつ、紫陽花にやさしく試してくださいね。

ちなみに、白花種など色が変化しないものもあります。

紫陽花をはじめとして
季節の変化を楽しみ味わう文化が日本にはあります。
豊かな感性を子どもたちにも伝えていきたいですね。

 

そして、梅雨のこれからの時期は
集中豪雨などにより気象災害の起こりやすい時期でもあります。

発表される気象情報に注意して
早めの準備・対策を。

そして、いざという時には、最善の行動をしましょう!

 

(※1) 武田幸作『アジサイはなぜ七色に変わるのか?』 PHP研究所、1996年
(※2) http://www.engei.net/guide/guide.asp?ID=595

 

<サニーちゃんの一口メモ>

・気象庁では季節のうつり変わりを調べるために、紫陽花やうめ・さくらの開花した日、かえで・いちょうが紅(黄)葉した日などの植物季節観測や、うぐいす・あぶらぜみの鳴き声を初めて聞いた日、つばめ・ほたるを初めて見た日などの動物季節観測を行っているのよ。

 

<1号>

 

 

 

自然の暦 ~雪形~

4月末に新潟県十日町市~上越市を訪れた時、地元の方に「雪形(ゆきがた)」を教えていただきました。「雪形」とは山の岩肌と積雪が織り成す模様のことです。


正面に映るのは菱ヶ岳(ひしがたけ)。菱ヶ岳の雪形は「馬」です。まだ雪深く、雪形は完全に現れていません。頭と尻尾(しっぽ)が出ていましたが、最終的に足以下の残雪がストンと抜けると馬になるのだそうです。


こちらは去年の5月中旬の菱ヶ岳です。雪形、分かりますか?馬が馬鍬(まぐわ)を引いています。馬が現れたら田植えの時期です。
なお、馬の尻尾が細くなる頃が豆まき、馬の首が切れると粟まき、馬の形がはっきりする頃、馬が馬鍬を引く形になるともみまきの目安となる時期だそうです。さらに尻尾の太い年は天気が良くて豊作、尻尾が細く早く崩れると水不足で凶作という伝承(でんしょう)があります(※1)。

昔まだ天気予報の技術がなかった時代、その地に住む人々は雪形を田植えや豆まきなどの農作業の時期を目安にしていました(※2)雪形の多くが馬、牛、農民、農具等、農作業と関わりのある名称であり、それぞれに、種をまく時期、薪(まき)をとる時期、山菜をとる時期、魚をとる時期などの伝承があることからも、雪形は農事暦(のうじれき)として利用されていたことがわかります。農作業の時期を、山の雪解けから判断していたのです。その年その年の寒暖の具合が山腹の残雪に反映されるので、雪形を目安にする方が暦に頼るよりも正確である事を、昔の人たちは経験から学んでいたのですね。さらには雪形の出現時期、形、消え方等を一年間の天候占いや豊凶の手がかりにしていました(※1)こういった伝承については科学的に根拠が実証されているものもあります(例:残雪が早く消える→水不足)。先人たちの観察眼には感服します。

雲や風など空の様子や身のまわりの自然を観察して天気を予測することを「観天望気」と言いますが、雪形は観天望気を清らかに研ぎ澄ました結晶ともいえるのではないでしょうか。

しかし天気予報の技術が進んだ今、雪形の存在価値は失われつつあるようです。

ちょうどこの季節、川には雪解け水がほとばしり、雪が解けてぬかるんだ土からは、つくしやふきのとうなど春の山菜がいたるところに芽吹いていました。

またこの辺りでは平野はもちろん山間部でも、急な斜面を階段状に切り開いた棚田が幾重にも敷き詰められ、見事な景観を描いていました。棚田には豊富な雪解け水がたゆたゆと蓄えられ、田植えを待つ春のおだやかな光景が広がっていました。

そろそろ菱ヶ岳に馬が姿を現している頃でしょう。今年も農作業の季節が始まります。


※1 図説雪形 斎藤義信

※2 新版 信州雪形ウォッチング 近田信敬


<サニーちゃんの一口メモ>

1.雪形は全国約にあって、新潟県が一番多く、次いで長野県が多いのよ。

2.雪形には「ポジ型」と「ネガ型」があるのよ。「ポジ型」は山肌の窪地になっている部分に消え残っている雪が描く白い絵柄。一方 「ネガ型」は、白い残雪の中で雪の解けた山肌が黒く浮き上がっている黒い絵柄なのよ。菱ヶ岳の馬はポジ型よ。

<32号>

お天気のことば<その4> 風の表現

風はどうして吹くの?
気象庁「はれるんライブラリー」(※1)では、「暖まった空気は軽くなって上にのぼり、その下に周囲から冷たくて重い空気が入り込みます。そのときに風が吹きます。」と回答しています。つまり、空気の流れを風として感じるわけですが、私たちは、この自然現象を素敵に、しかも、季節感いっぱいで表現していますね。

今は、まさに「風光る」~「風薫る」季節。
「光る」で穏やかな春の暖かさを、「薫る」で初夏の若葉の香りを感じます。さらに「光風(こうふう)」「春風(しゅんぷう)」「和風(わふう)」「恵風(けいふう)」「陽風(ようふう)」「東風(こち)」は前者、「薫風(くんぷう)」「緑風(りょくふう)」は後者のイメージなどと状況によって使い分けますが、いずれも春~初夏の生命の息吹を感じる言葉です。

もう少し季節が進むと「南風(はえ)」が吹きますが、梅雨時には、以下のように色を付けて表します。
黒南風(くろはえ)」:梅雨時のどんより曇った日に吹く南風。
白南風(しらはえ)」:梅雨明けの頃に吹く南風。
黒から白に変わり、明るくなって梅雨明け・・・よりイメージし易いですね。

一方で、間に「つ(「の」の古い言い方)を入れるような表現もあります。
天つ風(あまつかぜ)」:大空を吹く風。
天つ風 雲のかよひ路 吹きとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ(※2)
時つ風(ときつかぜ)」:ほどよいころに吹く風。時節にかなった風。順風。
沖つ風(おきつかぜ)」:沖を吹く風。また、沖から吹いてくる風。

たとえば、「東風」を(ひがしかぜ)でなく(こち)、「南風」を(みなみかぜ)でなく(はえ)と読むことで、あるいは、間にひらがなを入れて繋ぐことで、そこに趣や風情をより一層感じ取ることが出来ます。
さらに、たとえば、以下のような名言に接すると、背筋がピンと伸びるようにも感じます。
春風(しゅんぷう)を以て人に接し、秋霜(しゅうそう)を以て自ら粛(つつし)む(※3)
戒めとしても心に沁みますが、「春風」と「秋霜」という、お天気の言葉の対比も見事ですよね。

私たちは、物理的な空気の流れの「風」ではなく、さらには「花鳥風月(かちょうふうげつ)」「風光明媚(ふうこうめいび)」などの四字熟語も相まって、人の心持ちまでも「風」で表現する・・・「風」に限らず、自然現象に命を吹き込んで表現する文化を連綿と受け継いで来ていますし、これからも受け継ぎ続けて行くはずです。

「風」についての日本語表現だけでも、まだまだ数え切れないほどあります。ちょっと時間を取って調べてみましょう。想像を膨らませると、きっと、あなたの魂が喜びますよ!

《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)子供向けだけど、お天気に関する疑問などは、最初にこのページを見ると判り易いかも知れないよ。 http://www.jma.go.jp/jma/kids/faq.html

(※2) 僧正遍昭(そうじょうへんじょう:816~890年、平安時代前期の歌人)作で、百人一首でもお馴染みだよ。「美しい天女の姿をもう少し見ていたいので、その通り道を雲で塞いでほしいと空吹く風にお願いする(私訳)」なんて、何とも切なくロマンチックだね。
羽衣伝説なのかな?
月への帰り道を雲で塞ぐとすれば、この美しい天女は「かぐや姫」なのかも?

(※3)佐藤一斎(さとういっさい:1772~1859年、江戸時代後期の儒学者)の名言で、「他人には春の風のように穏やかな暖かい心で接し、自分には秋の霜のように厳しい心で律すること」の勧めなんだよ。

<ゼフ>

今年は桜が早いようです

花粉・砂塵・黄砂・PM2.5・・・この季節、いろんなものが飛んだり、吹き荒れていますが、私たち日本人は、桜(ソメイヨシノ)の開花宣言で本格的な春を感じますよね。(※1)

今年は、3月13日の福岡と宮崎を皮切りに、東京は3月16日(宮崎は観測史上最早記録、福岡・東京は最早タイ記録)、横浜は3月18日に開花宣言が出て、早くも春本番。概ね開花から1週間ほどで満開になるので、花見計画を早めた方も多いのではないでしょうか。

開花宣言は、その地方の標本木(※2)に5~6輪以上の花が咲いたのを気象庁職員が目視で確認した日に出ます。開花のメカニズムについては、気象庁のホームページに以下のような内容の記述がありますので、ご紹介します。

  • 前年の夏頃に翌春咲く花のもととなる花芽(かが)を形成し「休眠状態」に入り、
  • 秋~冬の低温(5℃前後)に一定期間さらされて休眠状態から覚め(「休眠打破)、
  • 春先の気温の上昇とともに発育し開花する。

つまり、日本のような明確な四季があってこそ、暑い夏・寒い冬があってこその春の訪れ・・・私たちは、有難いことに、こんな素敵なプレゼントを大自然から毎年いただいているんですね。

さて、今年の開花は何故早かったのかを確認しましょう。
横浜の立春以降の気温変化を(グラフ1)に示します。青色線が日ごとの平均気温の平年値、赤色線が日ごとの平均気温の観測値ですが、2月は低めに推移した気温が3月に大幅に急上昇したことが判ります。また、緑色点線は昨年の日ごとの平均気温の観測値ですが、3月になってからの気温が今年より、また平年より随分低いことが判ります。ちなみに、昨年の横浜の開花日は4月2日と遅めでしたので、最終的には3月の気温上昇状況(追い込み)の影響が大きいのでは?という感じもありますね。あくまで個人的な推測レベルですが。

子供の頃は、桜は入学式の花と印象がありました。
それが、今は歌にも多く表現されているように卒業式の花と印象付けられた感があります。
そこで、気象庁ホームページにある過去60年の横浜の開花日のデータを元にグラフにしてみました(グラフ2)赤色線が実際の開花日推移で、青色線は開花日傾向の近似的なラインです。横軸が年で縦軸が日なので、右ほど最近、上ほど開花日が遅いということになります。近似的なラインは、やや右肩下がりで60年間で4~5日早まっているように見えます(開花の平年値も4日早まっています)が、実際は、かなりジグザグの振幅が大きいし、卒業式まで早まった感じではないかも知れませんね。皆様は、如何お感じでしょうか。

また、桜だけではなく、動植物の生態観察から季節変化を知ることが出来ます(※3)
日本に四季があることと、季節の移ろいを自然が教えてくれることに感謝ですね。

 
<サニーちゃんのお天気メモ>
(※1)開花予想は、民間の気象会社などで公開しているよ。たとえば、このリンクを参照してみてね。今では気象庁では予想していないんだって。
http://sakura.weathermap.jp/

(※2)福岡は「福岡管区気象台」、東京は「靖国神社」、横浜は「元町公園」に観測対象の木=標本木(ひょうほんぼく)があるので、開花宣言はなくても「うちの周りは咲いてるよ」ということも、その逆もあるんだね。
それから、標本木は、木の老化や周囲の環境の変化によって変わることもあるよ。静岡の標準木は「静岡地方気象台」構内にあるのだけれど、今年、17年ぶりに変更になったわ。

(※3)気象庁のホームページに「生物季節観測の情報」が載ってるよ。このリンクを参照してみてね。http://www.data.jma.go.jp/sakura/data/index.html

 <ゼフ>

 

スギ花粉 ~今春は要注意?~

今年もスギ花粉症(以下、花粉症)の人にとって、イヤな季節がやってきました。
しかも今年のスギ花粉の飛散量は、北海道や中国地方の一部で例年(過去10年間の平均)よりやや少なくなるものの、他の地方は例年並みか例年よりも多くなると予測されています。
昨年は飛散量が少なかったので、花粉症の人にとって比較的ラクな春でしたが、今春はかなりツライかもしれません。

スギ花粉の飛散量は、前年夏の気温や日射量の影響を受けるといわれますが、これは、夏にスギの花芽が形成されるためで、気温が高く日射量が多ければ花芽は多くなり、気温が低く日射量が少なければ花芽は少なくなります。<グラフ1・グラフ2>
また、スギ花粉の飛散量が非常に多かった年の次の年は少なくなる傾向があります。


私は都内の耳鼻咽喉科医院で受付の仕事をしているのですが、2月に入ってから「予防の為に」と言って来院する人が徐々に増え、連休前には「そろそろ症状が出始めた」と言って受診する人が増えました。

報道などで「飛散開始日」という言葉を耳にしますが、「飛散開始日」というのは「1㎠あたりの花粉数が連続して1個以上になった初日」のことで、それ以前にもわずかながらスギ花粉が飛んでいることがあります。そのため、スギ花粉に敏感な人は、「飛散開始日」以前から鼻がムズムズしたり、目がかゆくなったりするようです。

花粉症の薬は、症状が出る前から飲み始めたほうが症状が軽減されるので、ベテラン(?)の花粉症の人は早めに受診することが多いのですが、花粉症デビュー(?)したばかりの人は「自分は花粉症ではない」と思い込み、受診がおくれたりすることがあります。
昨年まで花粉症でなくても、突然花粉症になることはあります。特にスギ花粉の飛散量が多い年は要注意です。(※1)
鼻がムズムズする、鼻水が出る、のどがイガイガする、目がかゆい…などの症状がこの時期続くようでしたら、一度専門医に相談してみてはいかがでしょうか。

花粉症の人は、スギ花粉がたくさん飛んでいるときの外出はできるだけ避けたいものです。
スギ花粉の飛散状況をリアルタイムで見ることができる「環境省花粉観測システム(愛称:はなこさん)」http://kafun.taiki.go.jp/ などを活用してください。(※2)

実は私も花粉症。早くこの時期が過ぎてくれればと願うばかりです。(※3)

<参考写真>スギの雄花と花粉 出典:環境省花粉症健マニュアル

<サニーちゃんのお天気メモ>

(※1)スギ花粉の飛散量を抑える対策として、少花粉スギや無花粉スギの開発も進められていて、その苗木の植林も始まっているよ。でも、苗木生産量全体に占める割合は平成22年度で7%程度なんだって。成長して効力が出るまでに、まだまだ長い時間がかかるんだね。

(※2)「花粉観測システム(はなこさん)」は、環境省と厚生労働省が設置した全国131か所(平成24年時点)のデータを1時間ごとに更新して表示しているんだよ。花粉自動計測器でレーザー光を照射して測定するんだって。花粉の量だけでなく風向きや風の強さも分かるよ。また、民間の気象会社や各自治体でも、より細かい情報を発信している場合があるから検索してみてね。今、キミのいる場所の花粉の量を調べてみよう!
たとえば、ウェザーニューズ社「花粉チャンネル」:http://weathernews.jp/pollen/#//c=0
東京都「とうきょう花粉ネット」:http://pollen.tokyo-kafun.jp/kafun/index.php?action=KafunMapYohoNew

(※3)スギ花粉が峠を越えても4月頃にはヒノキ花粉・・・秋のブタクサなどの花粉もあるので、併発すると長期間悩まされることもありそうだね。

<3号>

南岸低気圧 ~関東地方の雪~

『1月14日成人の日、関東地方や東北の太平洋側では大雪となりました。
思わぬ大雪にちびっこたちは大喜び!? 一方、お出かけをやめたり、電車が止まって家に帰れなかったりと、大変な思いをした人も多かったのではないでしょうか。               イラスト:三善和彦氏

今回の大雪をもたらしたのは「南岸低気圧」で、日本列島沿岸の太平洋上を発達しながら西から東に進む温帯低気圧(以下、低気圧と呼びます)(※1)のことです。

日本海側に雪が降る理由は、前回のお天気ブログ「冬の季節風」でご紹介しましたが、太平洋側の主に関東地方に雪が降るのは、1月~3月頃にかけて冬型の気圧配置(※2)が崩れたときに、この低気圧が関係することが殆どです。ただし、これらは一般論であることをご承知おきください。

1. 低気圧の進路(図1)
一般的には、八丈島のやや南側を通ると「雪」、北側を通ると「雨」。つまり、陸地に近いほど「雨」・遠ければ「雪」・遠過ぎると何も降らないという傾向があります。これは、低気圧には、北側に冷たい空気の寒気(かんき)域・南側に暖かい空気の暖気(だんき)域があって、陸地近くを通過すると暖気域がかかって雪にはならず、八丈島のやや南側を通過するときに、北からの寒気を一番引き込み易く、雪になり易いということなんですね。

2.地上気温と湿度(図2
雪になるか雨になるかは、気温だけでなく湿度も関係しています。地上の気温と湿度についての一般的な関係表によると、気温が低いほど雪になり易く、また、湿度が低いほど雪になり易いとされています。0℃以下ならば、ほぼ雪ですが、たとえば、地上気温3℃でも、湿度60%ならば、雪になることが多いということですね。

 

3.その他のポイント
地上の気温だけでなく、上空の気温によっても左右されます。たとえば、上空1500m付近の気温が氷点下4℃程度が、ひとつの目安になっていますし、それ以下の高度の空気の冷え具合も関係します。また、当然のことながら、低気圧の規模や発達度合、寒気の状況などにも関係します。

では、最後に、この1月14日の低気圧による横浜の大雪(最大積雪13cm)を検証します。
Ⅰ. 低気圧は、八丈島やや南方を通過しました。(図3)
Ⅱ. 正午の地上気温:0.4℃、湿度:96%でした。(図2)
Ⅲ. 上空1500m付近の気温は、9時で氷点下1℃程度でした。(資料省略)

(図3)1月14日正午の地上天気図(気象庁HPより)
一般論で言うと、Ⅰでは雪、Ⅱ・Ⅲでは雨かみぞれの範囲でしたが、おそらく、この低気圧の発達具合が強烈(報道では「爆弾低気圧」と表現していましたが、これは気象用語ではありません)で、より寒気を引き込んだために、雪になったのでしょうか。

このように、天気予報やニュースでの情報に加えて、自分で雪になるかどうかを推理し、その結果がどうだったかを確認することも、面白いのではないでしょうか。

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)極地方の冷たい空気と熱帯地方の暖かい空気が混ざろうと渦を巻くことで温帯地方に出来る低気圧のことで、冷たい空気と暖かい空気の境として、進行方向の前方に温暖前線(図1赤い線)、後方に寒冷前線(図1青い線)が出来ることが多く、熱帯低気圧(台風)とは性質が全く違うんだよ。

(※2)冬型の気圧配置は、西の中国大陸方面に高気圧、東の太平洋方面に低気圧で「西高東低(せいこうとうてい)」と呼ばれるんだよ。これも、前回のお天気ブログ「冬の季節風」をもう一度見てね。

<ゼフ>

 

冬の季節風 ~颪(おろし)の話~

季節風、という言葉をご存知ですか?

その季節になると持続的に吹く風のことです。冬と夏で風向きが反対で、日本付近では、冬場はユーラシア大陸で発達するシベリア高気圧からの北西風、夏場は太平洋に張り出してくる太平洋高気圧から吹く南東風が季節風になります。季節によって気圧配置が変化する理由は、冬場は大陸が低温となり、非常に寒冷の高気圧が形成されるためで、逆に夏場は強い日射によって大陸が暖められ高温となり、上昇気流が発生し低気圧が形成されるためです。対して、海洋は一年を通して大きな温度変化がないため、相対的に冬場は低気圧、夏場は高気圧となります。

今はまさに北西の冷たい季節風が吹く季節ですね。この季節風は日本海を渡るとき、対馬海流という暖流(あたたかい海水)から熱とたくさんの水蒸気をもらいます。温かくしめった空気は上昇して雲になり、季節風にのって日本列島に到達します。そしてその雲が風に押されて高い山を上昇すると、上空にはとても冷たい空気があり、そこで雪に変わって地上に降ってきます。その結果、日本海側の山沿いで大雪になります。

さて、気流が山を越えた後、山を越えて吹きつける下降気流が「颪(おろし)」です。山を越える際に空気中の水蒸気が雨や雪となって山に降ったため、山を越えてきた風は乾燥した状態となっています。被害が出るほどの強風になる場所はごく限られた狭い地域ですが、昔から恐れられた風のため、地域の人によって局地風として独特な名前が付けられています。なお「~おろし」と付く局地風の呼称は吹き下ろしてくる山の名が冠されていることが多いようです。

冬の季節、関東で有名なのは「上州からっ風」。「赤城おろし」とも言われます。

関西では「六甲おろし」(阪神タイガーズの応援歌ではなく、六甲山から神戸市街に吹き下りてくる強風ですよ)が有名ですね。

皆さんも、是非お住まいの地域ならではの季節の風の名前を調べてみると面白いと思います。先人達もその地で耐え忍んできた風と思えば、辛い北風も心に温かく感じられるかもしれませんね。

<<サニーちゃんのお天気メモ>>

局地風として有名なものに「だし風」もあるわ。風が細長い峡谷を通って、谷の開口部から平野部や海上に向かって吹き出す強い東寄りの風なの。日本には他にも多くの局地風があるのよ。

日本の主な局地風(“最新天気図と気象の本 宮澤清治氏著”参照)

32号

空を覆った波状雲

先月の13日のことです。
空を見上げると、一面に縞模様の雲が広がっていました。

記憶に残っている方もいらっしゃると思います。周囲からは「何か異変がおこるのでは?」なんて声も聞かれましたが、そんなことはありませんのでご安心くださいね。

波状雲は「はじょううん」もしくは「なみじょううん」と読みます。この日は、高積雲の波状雲でした(※1)。サバの背中の模様に似ていることから、別名「さば雲」(※2)とも呼ばれます。

なぜこのように波状になるのでしょう?

その成因は大気波(※3)によるものと考えられています。短い波長の大気波が地面と平行に進んでいると、大気波によって空気が上下に動かされます。このようなとき、雲のできやすい条件(気温・湿度など)であれば、空気が上昇するときには雲ができ、下降するときには雲はできない、よって波状になるのです。

波状雲は空を見上げていると比較的よく遭遇できる雲です。ただし、この日のように空一面に見られることは珍しいと思います。私も興奮して、持っていたスマホでたくさん撮影しました。

美しい雲列を写真でお楽しみください。





 《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)波状雲は帯状あるいは塊状の雲の列が並んだ状態の雲です。いろんな高さに発生し、巻積雲、高積雲、層積雲などに見られるよ。

(※2)巻積雲に細かい横筋ができて虎の文様を思わせる雲は、昔から雨の兆しとされたことから『水増雲』『水征雲』の字をあてて、「水まさ雲」と呼ばれています(*)。層積雲は畑の畝に似ていることから「うね雲」と呼ばれているのね。

 *出典: 『空の名前』 高橋健司氏著

(※3)大気中に発生する波の総称です。様々な要素により周期的な波になったり、非周期的な波になったりするのよ。

  <18号>

お天気のことば<その3> 日和

「今日は天気もよく絶好の行楽日和ですねぇ」・・・よく耳にする会話ですね。

何気なく使うこの「日和(ひより)」という言葉には、「晴れたよい天気。晴天。また、何かをするのに丁度良い天気」という意味があります。

例年、10月下旬~11月上旬には、冬の訪れ(図1)の予告編として「木枯らし1号(※1)」が吹き、その後「西高東低の気圧配置(※2)」になる日と、大陸からの「移動性高気圧(※3)」に覆われ穏やかに晴れる日が交互に現れるようになります。12月上旬までの間で後者のように穏やかに晴れる日を特に小春日和(こはるびより)」と言います。晩秋の好天を春とダブらせる・・・字を見るだけで暖かさを感じる素晴らしい言葉ですよね。ただし、俳句では冬の季語になっていますし、決して春に使う言葉ではありません。(図2) ⇒ 図は、いずれもクリックすると大きく見ることが出来ます。

その他にも、
秋日和(秋の良く晴れて爽やかな天気)」
冬日和(穏やかに晴れた冬の日)」
菊日和(菊の花が咲く頃の好天気)」
麦日和(麦の播種や刈入れに良い日和)」
霜日和(霜が降りたあとの晴天)」・・・
数々の言葉がありますが、いずれも、その季節や時季を簡潔に、しかも見事にイメージする言葉だと思います。

ところで、「日和」には、もう一つ「空模様。天気。物事の成り行き。雲行き。形勢」という意味もあります。
俄日和(にわかびより=降っていた雨が急にやんで、晴れること)」
一石日和(いちこくびより=定まらない天候)」
狐日和(きつねびより=晴れているかと思えば雨が降ったりするような天気)」
⇒これは「狐の嫁入り」を連想しますねぇ。

いずれも、穏やかな好天を表しているのではなく、判断に迷うような天気を表しているように思います。そこから日和見主義(ひよりみしゅぎ=形勢を窺って自分の都合の良い方に着こうと二股をかけること)」という言葉になったのでしょうか。これは、あまり爽やかな響きではないですね。

ともあれ、私たちは、何かイベントがある日や何かをしようとする日は、穏やかな好天になって欲しいと思いますよね。こんなときは日和申し(ひよりもうし=晴天になるように神に祈ること)」で神頼みしてみましょう。

言葉の意味は、いずれも<Yahoo!辞書>より引用しています。


《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)東京地方で「木枯らし1号」になるには、以下の条件があるんだよ。
10月半ば~11月末の間で、西高東低に気圧配置になり、最大風速8m/秒以上の西北西
~北の風が吹くこと

(※2)日本を中心として、西の方から高気圧が張り出し、東の方には低気圧がある気圧配置で、冬型とも言うんだよ。

(※3)温帯低気圧と交互に東に移動していく高気圧(気象庁より)で、中心の東側中心に穏やかな好天だけど、朝の冷え込みが厳しく、霜が降りることもあるよ。

 

<ゼフ>