秋の紅葉と天候

もうすぐ秋の紅葉の季節が始まりますね。実はこの紅葉の美しさは、天候と密接に関わっているのです。美しく紅葉するには葉が色づく1,2週間前の天候が重要なポイントになります。以下の2つのポイントが満たされると葉は美しく染まるのです。

ポイントその1 晴天が多いこと 

ポイントその2 急に冷え込むこと 

それでは葉が紅葉する仕組みと天候の関係を説明しますね。

晴天が多く、葉が太陽をたくさん浴びると、葉は光合成をして栄養をたっぷり作ります。
夜、急に冷え込むようになると葉の活動が弱まります。そのため昼間に作られた栄養は、幹へ運ばれずに葉に蓄積されます。(※1)
また、冷え込むと葉を緑色に染めていた“クロロフィル”と呼ばれる緑色の成分が分解されます。

するとなにが起こるかというと、、、

イチョウなどの黄色い紅葉の場合は、
クロロフィルが分解されてしまうと、葉にあるもう1つの成分である“カロチノイド”と呼ばれる黄色い成分の色に葉が染まります。これが黄色い紅葉のしくみです。

カエデなどの赤い紅葉の場合は、
葉に蓄積された栄養を原料にして“アントシアン”と呼ばれる赤色の成分が作られます。このアントシアンの色に葉が染まります。これが赤い紅葉のしくみです。

太陽をたくさん浴びることによって色の素となる栄養が作られ、急な冷え込みによって、クロロフィルが分解され紅葉の色が見事に現れるのですね。(※2)

皆さんの住むところでは、もう紅葉は始まりましたか? それともこれからですか? 美しい紅葉が見られるといいですね。

参考文献:日本列島四季ごよみ(中村次郎著)

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

※1…葉と枝の間に離層(りそう)と呼ばれるしきりができて、栄養が幹に流れないようになるのよ。冬に不要な葉を落とすための準備なのよ。

※2…この時期に長雨や台風で葉が痛んでしまうと、葉は十分に栄養を作れず、美しい紅葉にはならないのよ。

<40号>

 

雲海を楽しむ

暑かった夏もようやく終わり、秋へと季節が進みました。
みなさまはこの夏どんな風に過ごされましたか?

北海道占冠村のトマムに、夏の間、雲海(※1)を楽しめる場所があります。
その名も雲海テラス。ちょっとわくわくする名前ですね。
冬はスキー場となる山の標高1000メートル付近にあるゴンドラ山頂駅がその場所です。

こちらは今年の9月に撮影した写真です。

 

 

 

 

 

 

日の出の瞬間にみんな注目です。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この雲海の正体、実は霧なのです。どこでできた霧だと思いますか?

雲海の合間に見えるのは日高山脈の山々です。
日高山脈は北海道の中央南部に位置し、その長さはおよそ南北150kmです。その東側には十勝平野が広がり、その南には太平洋がありますね。
この太平洋の上で発生した霧が風に流され日高山脈を越えてくるのです。
流されていく過程でかき回され、厚さが200mにもなり雲海として見えるのだとか。

お手元に地図があったら広げて、霧が移動していく経路をイメージしてみてくださいね。

さて、どうして太平洋沖で霧が発生するのでしょう?
南よりの風にのって湿った暖かい空気が相対的に冷たい海の上に流れてきます。すると、湿った暖かい空気が冷やされ霧が発生するのです。これを「移流霧」といいます。別名「海霧」ともいいます。

この霧がトマムで見られる雲海の正体だったわけです。(※2)

雲海テラスは6月から10月上旬まで楽しめます。
今年はもうシーズンオフになってしまいますね。
雲海が発生する確率は日々異なります。頑張って早起きしたら見ることのできる(かもしれない!?)特別な朝。来年の夏休みに、幻想的な空間を体験してはいかがでしょう。

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)雲海とは、雲がはるかに横たわっている海原のことだよ。山頂や飛行機から見下ろした時に海のように見える雲を雲海というのね。

(※2)トマムに現れる雲海は他にも種類があるのよ。地上付近の空気が放射冷却によって冷やされてできる放射霧もそのひとつです。

<18号>

<お天気のことば(2)> 二十四節気

暦の上では○○・・・よく耳にしますよね。
この暦に欠かせないのが、二十四節気(にじゅうしせっき)。(図1)
これは、黄道(こうどう)(※1)上の1年の太陽の動きを15度ごとに24等分して決められていて(※2)具体的には以下のとおりです。(【日にち】は2012年のものです)

出典:国立天文台「こよみ用語解説」           http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/faq/24sekki.html
<春>
立春(りっしゅん)寒さも峠を越え、春の気配が感じられる 2/4
雨水(うすい)陽気がよくなり、雪や氷が溶けて水になり、雪が雨に変わる 2/19
啓蟄(けいちつ)冬ごもりしていた地中の虫がはい出てくる 3/5
春分(しゅんぶん)太陽が真東から昇って真西に沈み、昼夜がほぼ等しくなる 3/20
清明(せいめい)すべてのものが生き生きとして、清らかに見える 4/4
穀雨(こくう)穀物をうるおす春雨が降る 4/20

<夏>
立夏(りっか)夏の気配が感じられる 5/5
小満(しょうまん)すべてのものがしだいにのびて天地に満ち始める 5/21
芒種(ぼうしゅ)稲や麦などの(芒のある)穀物を植える 6/5
夏至(げし)昼の長さが最も長くなる 6/21
小暑(しょうしょ)暑気に入り梅雨のあけるころ 【7/7
大暑(たいしょ)夏の暑さがもっとも極まるころ 7/22

<秋>
立秋(りっしゅう)秋の気配が感じられる 8/7
処暑(しょしょ)暑さがおさまるころ 8/23
白露(はくろ)しらつゆが草に宿る 9/7
秋分(しゅうぶん)秋の彼岸の中日、昼夜がほぼ等しくなる 【9/22
寒露(かんろ)秋が深まり野草に冷たい露がむすぶ 10/8
霜降(そうこう)霜が降りるころ 10/23

<冬>
立冬(りっとう)冬の気配が感じられる 11/7
小雪(しょうせつ)寒くなって雨が雪になる 11/22
大雪(たいせつ)雪がいよいよ降りつもってくる 12/7
冬至(とうじ)昼が一年中で一番短くなる 12/21
小寒(しょうかん)寒の入りで、寒気がましてくる 1/6
大寒(だいかん)冷気が極まって、最も寒さがつのる 1/21

私には、<春>雨水・啓蟄・清明・穀雨では、夏に向けて生命の息吹や勢いを力強く表現し(図2)<秋>白露・寒露・霜降では、冬に向けてその勢いが収まっていく様子を見事に表現しているように感じますが、如何でしょうか。漢字2文字の素晴らしい表現力なんですね。

 

実際の気温と二十四節気の表現では少しズレがあるように感じますが、今年の1月~2月の横浜では、(図3)のような気温推移をしました。「小寒」頃に一旦気温が下がり、「大寒」頃に最低気温となり、「立春」頃から上昇機運となり、「雨水」頃から急上昇しています。暦と気温推移が見事に一致して、ちょっと驚きました。

         (図3)1月~2月横浜の気温推移(データは気象庁より取得)

先人たちは、季節の移ろいを気温の谷や山で感じていたんでしょう。一番の寒さから気温が上向く頃が「立春」で、これから春を感じられるようになる頃=春の始まり、まさに「春が立つ」頃を表現しているんですね。(※3)

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)太陽の見かけの通り道のことだよ。

(※2)30度ごとに12等分したら西洋占星術の星座。各星座の範囲が暦の20日前後で切り替わるのも同じ理屈なんだね。

(※3)9月になっても、まだまだ暑いよね。でも、今が暑いから夏ではなく、すでに「秋が立って」いるので「残暑」って言うんだよ。これも素敵な表現だけど、この話しは、また別の機会にね。

<ゼフ>

 

<お天気のことば(1)> 大雨の表現

夏本番の日本列島・・・海・山・川で過ごす機会が増えますね。この季節の野外での活動は、熱中症だけでなく、急な大雨や雷にも注意が必要です。(※1)

最近は、テレビなどの天気予報やニュースだけでなく、このような情報をエリアメールで受け取ることも出来ますし、インターネットを通して自分で取得することも出来ます。正しい情報をタイムリーに得ること、それを元に冷静に判断することを心掛け、「自分(家族)を守るのは自分」という意識を持って、楽しい夏休みをお過ごしください。(※2)

さて、こんな災害を起こしそうな雨も、日本語では、いろいろな表現をしています。これは、日本が地勢的にも気候的にも変化に富んでいて、先人たちがその自然現象に関心を寄せていたことに因るところが大きいようです(※3)

以下は代表例ですが、単に「大雨」「豪雨」というよりも、その字句が見事に現象を表現していて納得感があるように感じますし、知ることが心の栄養剤になるような気もします。温故知新という言葉もあるように、先人たちが築き上げた素敵な日本語表現に接してみては如何でしょうか。

夕立(ゆうだち)⇒ 夏の午後に降る激しいにわか雨。雷を伴うことが多い。

白雨(はくう)⇒ 明るい空から降る雨。にわか雨。夕立。

黒雨(こくう)⇒ 空を暗くするばかりに降る大雨。

盆雨(ぼんう)⇒ 水の入った容器をひっくり返したような雨。大雨。豪雨。

群雨(むらさめ)⇒ ひとしきり激しく降り、やんではまた降る雨。村雨。

驟雨(しゅうう)⇒ 急にどっと降りだして、しばらくするとやんでしまう雨。

車軸を流す(しゃじくをながす)⇒ 車軸のような太い雨脚の雨が降る。大雨の降る様子。

馬の背を分ける(うまのせをわける)⇒ 馬の背の片側は雨でぬれ、片側は雨が降らない意で、夕立などが、ある地域を境にして一方では降っているのに他方では晴れているさま。

※今後、折を見て、このようなステキな日本語表現を紹介していこうと思います。

《サニーちゃんのお天気メモ》

 ※ 1 局地的に短時間に降る大雨を「ゲリラ豪雨」と呼ぶことが多いし、そのほうがイメージし易いけど、正式には「局地的大雨」と呼ぶんだよ。このような雨が降る仕組みは、前回のコラム「夏の入道雲の話」を見てね。

 ※ 2 以下のサイトを参考にしてね。
①   「局地的大雨から身を守るために」リーフレット 【出典:気象庁】
⇒ 何に注意して、どんな行動をすれば良いか判るよ。   http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/kyokuchiame/index.html

②   「レーダー・ナウキャスト」 【出典:気象庁】
⇒ 降水・雷・竜巻発生確度の状況と予測が5~10分単位で判るよ。http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/
↓携帯版はコチラ

③   「X-RAIN(試験運用中)」 【出典:国土交通省】
⇒ 降水の状況が1分単位で細かく判るよ。
http://www.river.go.jp/xbandradar/

 ※ 3 「日本語使いさばき辞典」(あすとろ出版)を参考にしたよ。素敵な日本語表現がいろいろ載っていて読むと楽しくなるよ。

<ゼフ>

夏の入道雲の話

夏になると、さっきまで晴れていたのにいつの間にかモクモクとした白い雲が現れて、急に激しい大粒の雨を降らすことがよくありますよね。このような雲は、入道雲(または積乱雲)と呼ばれます。


どうして入道雲は、夏によく発生するのかしら?

入道雲が発生するまでを順を追って説明しましょう。

まず、夏は強い日差しで地面がとても熱くなるので、地面に接する空気が暖められます。すると暖められた空気は膨張して軽くなるため上昇します。(空気が上昇する現象のことを上昇気流といいます。)

空気が上昇すると、その空気の塊(かたまり)の温度が下がります。気温が下がると、空気中に含むことのできる水蒸気(※1)の量が少なくなるので、空気中に含まれていた水蒸気が細かい水の粒に変化します(※2)この細かい水の粒の集まりが雲です。このようにして雲が発生するのです。

ところが水蒸気は、水に変化するときに熱を発生するという性質があります。すると空気は再び暖められて、さらに上昇気流が発生するのです。夏の空気は水蒸気をたくさん含んでいるのでこれを繰り返し、モクモクとした大きな入道雲に成長するのです。

夏は地面が熱くて上昇気流が発生しやすく、空気中に水蒸気をたくさん含んでいるので、入道雲が発生しやすいのですね。


では、どうして入道雲から降る雨は、激しい大粒の雨なのかしら?

入道雲から雨が降るまでを順を追って説明しましょう。

できたての雲の雲粒はとても小さいので、雲粒が落下する力よりも上昇気流や空気との摩擦の力が勝っているから落ちてはきません。

でもやがて雲の中で雲粒同士がぶつかって大きな雲粒ができます。通常、雲粒はある程度まで大きくなると、上昇気流や空気との摩擦の力よりも雲粒が落下する力が勝って雨が降りだします。

しかし入道雲の場合、他の雲よりも上昇気流の力がずっと強いので、他の雲よりも大きな雲粒にまで成長しないと落下できないのです。だから、入道雲から雨が降るときは激しい大粒の雨になるのですね(※3)


《サニーちゃんのお天気メモ》

※1…水蒸気とは、水が蒸発して気体となったものなのよ。梅雨や夏に“蒸し蒸しするなあ”と感じるのは、空気中にこの水蒸気がたくさん含まれているからなのよ。

※2…冷たい水を入れたコップの周りに水滴がつくことがあるわよね。これも冷たい水によってコップのまわりの空気が冷やされて、空気中に含まれていた水蒸気が水に変化したものなのよ。

※3…入道雲から雨が降り出すときは、今度は下降気流が発生して上空の冷たい空気が下りてくるのよ。急に空気がヒヤッと感じたら、入道雲から雨が降り出すサインなのよ。

<40号>

写真提供 : 永田健太郎氏

気圧と天気図のお話し

テレビや新聞でお馴染みの天気図。
「高」というのは周りより気圧が高いところで高気圧、「低」というのは周りより気圧が低いところで低気圧を表します。(図1)
これらを中心に「線」が引かれていますが、これは同じ気圧のところを繋いだ線で「等圧線」といいます。ちょうど地図で標高を表すときの等高線のようなイメージです。(※1)

また、気圧とは、その地点に掛かる空気の圧力で、海面で一番大きく(高く)、標高が高いほど小さく(低く)なります。(図2)
標準的には、海面で1気圧=1013hPa(ヘクトパスカル)=1c㎡あたり約1kgの重さで、上空5500m近辺で半分(0.5気圧)になります。概ね、海面から富士山頂あたりの標高までは、10mの標高差で1hPa変化する計算です。(※2)

気象の変化にともなって、気圧は、下降流では高く(高気圧)、上昇流では低く(低気圧)なりますので、天気図でそれを表す意味があるわけです。

うん?標高によって気圧が変わるのならば、天気図の等圧線も、地図の等高線のように標高を表す線になるのでは?標高が高い箇所はいつも低気圧のようになるのでは?

実は、天気図の気圧は観測地の気圧を物理的な計算で海面の気圧に補正しているのです。これを海面更正といって、同じ土俵で比較出来るようにしているのです。

そこで、ちょっと確認してみました。(図3)
これは先日の台風第4号が横浜に近づいたときの横浜地方気象台の気圧(海面更正後)と、横浜市内の自宅で実測した気圧の比較で、平均3hPa前後の差異がありました。自宅は海抜50m程度なので、5hPa程度低いはずなのですが、気象台と自宅との距離や観測方法、機器の精度などもあるのだと思います。

普段は、あまり気にかけない気圧ですが、高層ビルのエレベータに乗ったり、山登りや高原にハイキングに行く際など、こんな携帯気圧計(気象計)で気圧を実感するのも面白いかも知れませんね。(※3)

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1) 等高線・等圧線・・・等○線というのは、いろいろあるよね。線で繋ぐと、それまで見えなかったものが見えて来ることがあるよ。等高線の間隔が狭いほど急斜面で川が急流になるように、等圧線の間隔が狭いほど、強い風が吹くんだよ。

(※2) 標高約1000mの軽井沢では900hPa前後、標高3776メートルの富士山頂では640hPa前後だよ。富士山頂に持って行ったスナック菓子の袋がパンパンになるのは、袋の中の気圧より外の気圧が凄く低いから袋が膨らむんだね。

(※3) トンネル通過時の列車の中や航空機の離着陸に「耳がつん」とするのも気圧差が原因だよ。気圧変化で体調を崩す「気象病」という言葉もあるくらい気圧は身近なものなんだよ。

雨の日に、なんだかテレビやラジオの調子が悪い?~降雨減衰の話~

皆さんは大雨の時にラジオ音声が聞きづらくなったりテレビ映像が乱れたりしたという経験はありませんか?

これは音声や映像を乗せた電波が、雨粒などによって吸収・反射されて弱くなるためです。現象としては、音声や映像にノイズ(電気的な雑音)が発生して、雨が強くなるにつれてその量が増えます。機械が壊れたわけではなく、天候が回復すると自然に収まります。

もちろん雪(特に湿った雪)でも影響があります。またアンテナに雪が着氷した時にも影響が出ます(※1)

これを降雨減衰と言います。降雨減衰は電波の周波数(※2)が高いほど、そして伝送距離が長いほど影響が大きくなります。電波を使う身近な放送・通信システムで例を挙げましょう。

AMラジオ(531~1602kHz)、FMラジオ(76~90MHz)、テレビ放送(470~770MHz)、携帯電話(810MHz ~2.17GHz)、WiFi(2.4GHz)、衛星放送(BS・CSの送信周波数11.7~12.75GHz)の順に周波数が高くなります。

また伝送距離を比べると最小がWiFi (<100m)で、最大は衛星放送。なんと地上から衛星まで3万6000kmです。

ですから最も雨の影響を受けやすいデリケートなシステムは、周波数も高くて伝送距離も長い衛星放送なのです(※3)。衛星放送コンテンツを流すケーブルテレビも同様の影響を受けますよ。

豪雨のために見たい番組が砂嵐…という可能性もなきにしもありませんが、これもお天気の影響(※4)。地球に住む皆が平等に受ける自然現象として、涙して受け止めましょうね。

また折しも今年は稀代の天体ショーに恵まれた年です。衛星放送番組を楽しみつつ、時には、遥か大気圏を突き抜けて宇宙まで往復する電波の旅に思いを馳せてみるのも良いかもしれませんね。

出典:IPA「教育用画像素材集サイト」 http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/

《サニーちゃんのお天気メモ》

※1…豪雪地帯では着雪・着氷対策としてレドームと呼ばれるカバーがアンテナに取り付けられているのよ。

※2…1秒間に繰り返される電波の振動数を周波数で表すのよ。単位はヘルツ(Hz)で、1Hzは1秒間に1回振動する波なの。また、1 キロヘルツ(kHz) =1,000 Hz,
1 メガヘルツ(MHz) = 1,000 kHz, 1ギガヘルツ(GHz) = 1,000 MHzに相当するのよ。

※3…CS放送は、BS放送よりも衛星から発射される電波が弱いため、降雨減衰の影響を受けやすいのよ。

※4…家の近くは晴れていても、放送局付近の天気に影響を受けることもあるんだよ。

平年値って?

『今日の東京の最高気温は平年より5℃も高く、5月下旬並みの陽気に・・・』
『福岡のソメイヨシノの開花は平年より5日遅く、昨年より・・・』
このようなアナウンスをよく耳にしますね。

皆さんはこの『平年』ということばの意味をご存知ですか?

『平年』とは『平年値』を略した言い方で、年によって変わります。
2010年の平年値は1971~2000年までの30年間の平均値でしたが、2011年からは1981~2010年の平均値に変わりました。
気象庁では、西暦年の1の位が1の年から続く30年間の平均値をもって平年値とし、10年ごとに更新し現在は、1981~2010年の観測値による平年値を使用しています。
したがって2010年までは、1971~2000年の観測値を平年値としていました。(※1)

平年値は、気象(気温、降水量、日照時間等)や天候(冷夏、暖冬、少雨、多雨等)を評価する基準として利用され、その地点の気候を表す値として用いられていますが、昨年からの『平年値』、1970年代から、より温暖になってきたことを考えると、最新の平年値を上回るというのは一昔前と比べてかなり気温が上がったということになるんでしょうね。(※2)

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

※1 1981年~2000年の20年間は同じなんだね。

※2 10年分が入れ替わっただけなのに、夏の気温で0.2℃~0.6℃くらい上がったとろが多いんだね。ちょっと乱暴だけど、30年前に比べたら1℃以上上がったって感覚なのかな。

その他の比較は、ここを参照してね。(PDF)

http:/www.jma.go.jp/jma/press/1103/30a/110330_heinenchi.pdf

金環日食~リング状の太陽を見よう

新月の時、月と太陽が重なって、太陽を隠す現象を「日食」といいます。

皆既日食と金環日食図1.皆既日食と金環日食の違い

地球から見ると、月と太陽の大きさはほとんど同じなので、ぴったり重なれば、全部隠れる「皆既日食」、ずれて重なれば一部が欠けて見える「部分日食」となります。ところが実は、月は地球の周りを楕円形を描いて回っているので、月のみかけの大きさは大きく変化します。(※1)
そのため、月のみかけの大きさが小さいときには、ぴったり重なったのに太陽を隠しきれない・・月の周りにリング状の太陽が見える・・「金環日食」となるんです。(図1)
(イラスト:高部哲也氏) 

その金環日食が、次の新月5月21日(月)の朝7時半頃、日本の多くの地域で見られるのはいろいろなメディアで取り上げられていますから、皆さん、ご存じですね?(※2)

でもひょっとして、7時半前後だけの現象とか、7時半頃、世の中が暗くなるから自然に気がつくだろう、とか、その時刻に見上げればリング状の太陽が見られるだろう・・・とか、思っていませんか?

これ、全部間違いです。
まず、日食の現象自体は、地域によって異なりますが、だいたい6時半頃から始まって
だんだん欠けていき、7時半前後に最長5分間くらいリング状になり、だんだん元に戻っていって9時過ぎにもとどおりの丸い太陽になります。2時間近く続く大イベントなんです。
それから、太陽がリング状になっても世の中は暗くなりません。太陽が雲に隠されたのかな?位の変化しかなく、しかも1時間もかけて暗くなっていくので、気づくことは出来ません。そして、一番大事なのが、そのまま見上げても絶対にリング状の太陽は見えない、ということ。太陽はとても明るいので、リング状に残った部分だけでも、まぶしくて何もわからないのです。

さらに、まぶしいだけではなく、太陽を直視することは目にとってとても危険です

日食めがね図2.日食めがねはいろいろ

そこで登場するのが「日食めがね」(図2)となるわけですが、これ、かけてみるとわかるけど真っ黒ですよね?いったいどうやって、太陽を見つければいいんでしょう?ここで、役に立つのが「影」。だって、影は太陽の真反対に出来るんですから。

①両足を少し開いて太陽に向かって下を向いて立ち、自分の影の中心が足の間に来るように調整する
②日食めがねをかける
③ゆっくりと顔を上げる(図3)(写真提供:芳野 雅彦氏)

日食めがねの使い方図3.日食めがねの使い方

ほら、こんなふうにすれば、ちゃんと太陽を見つけられますね。
食の始まりから、ちょこちょこ見ることで、だんだん、欠けていく太陽を楽しむことが出来ます。(※3)

金環日食が次に東京で見られるのは、300年もあとだとか。
世紀の天文ショーを気軽に見られる大チャンス!ぜひ、正しい方法で安全に観望してみてくださいね。

《サニーちゃんのお天気メモ》

※1 5月6日の満月は、一番小さいときに比べて14%とも大きかったんだよ。
※2 どこでいつ見られるか?という詳しい情報は国立天文台のHPを見てね。
http://naojcamp.mtk.nao.ac.jp/phenomena/20120521/obs.html
※3 日食めがねをかけていても、太陽を見るのは全部足して数分以内にしてね。
    途中休んでも、ダメージは回復しないから観望時間は足し算だよ。


 

日食・月食のはなし

天体が天体に隠される現象を「」といいます。

地球から見た太陽と月の位置関係によって、太陽が欠けて見える日食や、月が欠けて見える月食という不思議なことが起こります。

日食とは、太陽が月によって隠されて見えなくなってしまうこと。
《太陽》―《月》―《地球》が一直線にならんだときに見ることができます。(図1)

   図1.「日食」のときの太陽・月・地球
宇宙から見ると「月の影が地球に映っていて、その影の中にいると日食が見られる」ということになります(※1)
太陽の見え方は変わりますが、月の後ろに隠れるだけなので、すぐにまた元の丸い形に戻ります。

イラスト:高部哲也氏

 

さて月が欠けて見えるのが月食」。
月には満ち欠けがあり、満月・半月・三日月と毎日少しずつ形が変わりますよね。
月食は三日月とは違うのでしょうか?

正解は、まったく違います!
ヒントは「月は丸いボールの形をしている」、そして「月は自分で光を放っているのではなく、太陽に照らされて光って見えている」ということ。(※2)

満月は、太陽に照らされている部分が大きいので丸く見えますが、三日月は太陽に照らされている部分が小さいので欠けて見えます。
つまり三日月の暗い部分は、「太陽に照らされていないから暗く見える」のです。
これに対して月食の暗い部分は、「太陽に照らされて光ってはいるけれど、そこに地球の影が映って暗く見える」のです。(図2)

  図2.「月食」のときに月に映った地球の影
よく見ると、普段の月の満ち欠けと月食とでは、欠けていくときの形が少し違っています。月食の暗い部分は地球の影。月食のときに月に映る影の形を見れば、地球は丸いということがよく分かりますね。

このほか、金星が月に隠される「金星食」、木星が月に隠される「木星食なんていうのもあるんですよ。(※3)

イラスト:高部哲也氏

 

 

《サニーちゃんのお天気メモ》  

※1 だから、場所によって見えるところと見えないところがあるの。

※2 太陽は自分で光っているの。地球や惑星(木星・金星など)は自分では光っていないよ。

※3 2012年8月14日の早朝、日本で「金星食」が見られるよ。望遠鏡があれば、
金星が月でかくれんぼする様子が分かるよ。


リンク:気象庁「宇宙から見る月の影」
http://www.jma-net.go.jp/sat/data/web/suneclipse_observation.html

衛星「ひまわり」から見た日食のときの地球。
動画で見ると、地球上を月の影が移動していく様子がよく分かります。