夏になると、さっきまで晴れていたのにいつの間にかモクモクとした白い雲が現れて、急に激しい大粒の雨を降らすことがよくありますよね。このような雲は、入道雲(または積乱雲)と呼ばれます。
どうして入道雲は、夏によく発生するのかしら?
入道雲が発生するまでを順を追って説明しましょう。
まず、夏は強い日差しで地面がとても熱くなるので、地面に接する空気が暖められます。すると暖められた空気は膨張して軽くなるため上昇します。(空気が上昇する現象のことを上昇気流といいます。)
空気が上昇すると、その空気の塊(かたまり)の温度が下がります。気温が下がると、空気中に含むことのできる水蒸気(※1)の量が少なくなるので、空気中に含まれていた水蒸気が細かい水の粒に変化します(※2)。この細かい水の粒の集まりが雲です。このようにして雲が発生するのです。
ところが水蒸気は、水に変化するときに熱を発生するという性質があります。すると空気は再び暖められて、さらに上昇気流が発生するのです。夏の空気は水蒸気をたくさん含んでいるのでこれを繰り返し、モクモクとした大きな入道雲に成長するのです。
夏は地面が熱くて上昇気流が発生しやすく、空気中に水蒸気をたくさん含んでいるので、入道雲が発生しやすいのですね。
では、どうして入道雲から降る雨は、激しい大粒の雨なのかしら?
入道雲から雨が降るまでを順を追って説明しましょう。
できたての雲の雲粒はとても小さいので、雲粒が落下する力よりも上昇気流や空気との摩擦の力が勝っているから落ちてはきません。
でもやがて雲の中で雲粒同士がぶつかって大きな雲粒ができます。通常、雲粒はある程度まで大きくなると、上昇気流や空気との摩擦の力よりも雲粒が落下する力が勝って雨が降りだします。
しかし入道雲の場合、他の雲よりも上昇気流の力がずっと強いので、他の雲よりも大きな雲粒にまで成長しないと落下できないのです。だから、入道雲から雨が降るときは激しい大粒の雨になるのですね(※3)。
《サニーちゃんのお天気メモ》
※1…水蒸気とは、水が蒸発して気体となったものなのよ。梅雨や夏に“蒸し蒸しするなあ”と感じるのは、空気中にこの水蒸気がたくさん含まれているからなのよ。
※2…冷たい水を入れたコップの周りに水滴がつくことがあるわよね。これも冷たい水によってコップのまわりの空気が冷やされて、空気中に含まれていた水蒸気が水に変化したものなのよ。
※3…入道雲から雨が降り出すときは、今度は下降気流が発生して上空の冷たい空気が下りてくるのよ。急に空気がヒヤッと感じたら、入道雲から雨が降り出すサインなのよ。
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