もうすぐ気象記念日だよ!

6月1日は何の日か知っていますか?

気象記念日です。
今年で第140回目を迎えます。

ということで、140年前を振り返ってみましょう。

今から140年前、明治8年(1875年)の6月1日に東京で気象と地震の観測が始まりました。

●気象台の設置
明治3年(1870年)に測量の仕事で来日したイギリス人の測量助師ジョイネル(※1)さんが気象観測の必要性を政府に申し述べ、明治6年5月に工部省測量司は気象台を設けることを決めました。その気象器械はイギリスから調達したのですが、その調達にあたったシャーボー(※2)さんは「日本で測量をするには、まず地震観測が必要だ」と考えました。日本は地震が多いので、気象を観測する測点が移動しては困るからです。そして、地震計はイギリスにはなかったため、イタリアから持ち込まれました。

●気象観測の始まり
明治8年(1875年)の5月に器械の据付けが完了しました。その場所は、内務省地理寮構内(※3)です。その翌6月から観測が始まりました。初めは、御雇外国人(※4)ジョイネルさんが一人で、1日3回の気象観測を行いました。地震があれば、土蔵の中の地震計まで飛んで行ったそうです。

気象記念日はこの気象観測の始まりを記念したものなのです。記念日は昭和17年に制定されました。

●気象台の歴史
このように日本での気象観測は140年の歴史があります。気象台の設置は、工部省によって計画され、内務省によって実現されました。東京気象台、中央気象台、そして気象庁になるまで組織はどのように変遷してきたのでしょう。

明治  7年    1月  工部省測量司は、内務省に移管
明治  7年    8月  内務省地理寮量地課と改称
明治  8年    6月  内務省地理寮量地課が東京気象台を設立(気象観測開始)
明治 20年    1月  中央気象台と改称
明治 28年    4月  気象事業が文部省に移管
昭和 18年 11月  運輸通信省に移管
昭和 31年    7月  中央気象台から、気象庁となる
平成 13年    1月  国土交通省の外局となる

気象庁となったのは、戦後なのですね。

さて、こちらの写真は気象科学館の入口に掲示されているもの。
気象観測が始まってから何年かすると、天気図や天気予報が作られるようになります。そのお話は次回に…

参考文献:気象庁ホームページ、気象百年史

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

実はね、日本で最初の気象観測は、函館気候測量所で行われたんだよ。明治5年8月26日、開拓使によってで観測を開始したのが最初なんだって。

(※1)ジョイネル (H.B.Joyner)。
□□□□□□明治3年に来日、明治4 年に工部省測量司に転属。

(※2)シャーボー(H.Scharbau)。
□□□□□□15ヶ月にわたり器械購入のため尽力した。

(※3)現在の港区虎ノ門2-10 ホテルオークラのあたり。

(※4)御雇外国人(おやといがいこくじん)とは、
□□□□□□日本の近代化に貢献すべく招聘された欧米先進国の専門家たちのこと。

〈18号〉

 

「くもり時々雨」と「くもり一時雨」の違いって、わかりますか?


「くもり時々雨」と「くもり一時雨」。
天気予報ではよく聞くフレーズですよね。
でも、みなさん、この違いってわかりますか?

この「時々」と「一時」という言葉、
実は、気象庁が天気予報などで用いる“予報用語”として定めたものなのです。

「時々」と「一時」の違い、それは『現象が発生する時間の長さ』の違いです。
気象庁では、現象が断続的に発生しその発生した時間が予報期間の2分の1未満の時は「時々」、現象が切れ間なく発生しその時間が予報期間の4分の1未満の時は「一時」としています。
(ちなみに、「連続的」とは『現象の切れ間が1時間未満の場合』、「断続的」とは『現象の切れ間がおよそ1時間以上ある場合』です。)

ここで、ある一日を対象にした天気予報が「くもり時々雨」と「くもり一時雨」の場合を比べてみましょう。

ある日の予報が「くもり時々雨」の場合、『くもってはいるものの時折雨が降り、その降っている時間は(一日の半分である)12時間未満』、ということになります。

「くもり時々雨」は、このイメージのように『雨は止み間がある(断続的)けど、期間のうち全体の2分の1未満の時間だけ降って、それ以外の2分の1以上の時間はくもる。つまり、くもっている時間の方が長い。』ということになります。

一方、「くもり一時雨」の場合は、『くもってはいるものの一時的に雨が降る時間帯がある。(雨が降る時間は、1日の4分の1である6時間未満。)』ということになります。

「くもり一時雨」は、上のイメージのように『この期間の4分の1が連続して雨降りになり、それ以外の期間はくもっている。』状態です。
このように図にして比べてみると、「くもり時々雨」の方が雨の降る時間が長いのがわかりますね。

では、「くもりのち雨」という場合はどうでしょう?

「のち」という言葉も気象庁が定めた“気象用語”です。この言葉は、『予報期間内の前と後で天気現象が異なる時、その変化を示す』ために使います。
ということは、ある日の予報が「くもりのち雨」の場合は、「はじめはくもっているけど雨になる」ということになりますね。でも、天気予報では、この変化をできるだけ具体的な時間帯を示すようにしているので、例えば、その日の大局的な予報が「くもりのち雨」であっても昼過ぎから雨になる場合は、「くもりのち雨」とは言わずに「くもり昼過ぎから雨」という予報文になります。(※1)

どうですか?
天気予報で使われる言葉の意味、ちゃんと理解していましたか?

これから梅雨の頃には「くもり時々雨」や「くもり一時雨」という予報を聞くことが増えると思いますが、天気予報に使われる言葉の意味を知って、より上手に天気予報を活用してくださいね。

 

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)「くもり昼過ぎから雨」という予報だと『くもっている時間が期間の4分の1以上』あるけど、下のように『期間の初めからくもっている時間が4分の1から3分の1くらい』の場合は、『はじめのうち』という言葉を使うのよ。この『はじめのうち』という言葉も気象庁が定めた“予報用語”なのよ。

この場合は『雨はじめのうちくもり』ね。

でも、ここでも変化の時間がわかりやすいようになるべく具体的な時間帯で言うようにするので、「朝のうち」とか「夜のはじめ頃」という言葉を使うわ。例えば、ある日の天気予報で朝9時くらいまでがくもりの場合は、「雨、朝のうちくもり」、今夜に対する予報では「雨、夜のはじめ頃くもり」という言い方になるわね。

 サニーちゃん以外のイラスト:Copyright © いらすとや

〈23号〉