白い雲 ~光と散乱を考えよう!

「草原に寝転んで、一日中、空を見上げていたいなぁ」

今年も、そんな衝動に駆られる季節がやって来ました。
青空に浮かぶ白い雲の七変化を目で追いながら、想像力を逞しくしつつ、
ゆるりと物思いにふける・・・そんな贅沢を味わってみたいものです。

でも、何故、雲は白っぽく見えるのでしょうか?
それは、ヤカンから出る湯気が白く見えるのと同じ理由です。(※1)

光は、物質にぶつかると散乱(いろいろな方向に向きを変えること)します。
光(可視光)の波長(※2)と、ぶつかる物質の大きさ(直径)が同じ程度か、
波長より少し大きめの場合、全色が等しく同じように散乱する性質があり、
その光が全部重って、その結果で白く見えるということなんです。
雲や湯気は水滴で出来ていますが、この水滴の大きさが可視光の波長と、
同じ程度か少し大きめということなんですね。

「えっ? 絵の具を混ぜたら黒くなるよね?」

確かにそうですね。
「光」を混ぜると光の量が増えて白色に近づきますが、
「絵の具」を混ぜると吸収によって光の量が減って黒色に近づきます。
たとえば、赤い絵の具は赤以外の光を吸収して赤色に見えますが、
次に赤以外の色を重ねると、その赤色も吸収されてしまいます。

「光」は、足し算で明るくなり白色、
「絵の具」は、引き算で暗くなり黒色なのですね!

以下、~ご参考まで~
光の三原色である赤(Red)緑(Green)青(Blue)
「光」と「絵の具(イメージ)」で重ねたときのものです。


では、日中、
空が青く見えるのは?
夕焼けが赤く見えるのは?

これらも、光の波長と散乱の関係なんでしょうか?



答えは、またの機会ということにしますので、
以下のヒントを手掛かりにでも、ちょっと調べてみましょう!
きっと、面白いことが判りますよ~。

<ヒント>
青:波長が短い赤:波長が長い
可視光の波長と通過層の距離に関係がありそう?
この実験結果が何かを物語っています。

【実験】
ペットボトルに水を満たし、そこに、
大気粒子に見立てた数滴のフローリング用コーティング剤(※3)を入れて、
薄く白濁する程度に良く混ぜます。
ペットボトルの側面から光を当てて反対側から見ると青白く見えます。
(これは、青空のイメージ
底面から光を当てて上方を見ると赤っぽく見えます。
(これは、夕焼けのイメージ

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)ヤカンから噴き出る白い湯気の部分が水蒸気だと思われる方も多いと思いますが、水蒸気は気体で目に見えません。吹き出し口から白い湯気までの間の見えない部分が水蒸気で、それが急速に冷えて水滴(液体)になって白く見えます。

(※2)波の山(谷)から隣の山(谷)までの長さを「波長」と呼んでいて、その長さの違いが色の違いです。人間の目に見える光(可視光)の波長は、ほぼ、380nm~780nm(ナノメートル=100万分の1ミリメートル)の範囲で、波長の短いほうから、です。

(※3)今回はフローリング用コーティング剤を使用しましたが、代わりに牛乳でも実験可能です。多少色合いが判り辛くなりますが、安全性を考えると牛乳がお勧めですよ

 

<ゼフ>