今年の夏、新種の「ひまわり」が・・・

あけましておめでとうございます。
本年も、お天気コラムをよろしくお願いいたします。

さて、新年1回目は、「今年の夏、新種のひまわりが日本を席巻するかも知れないよ」・・・といっても、植物のひまわりではなく、新しい気象衛星「ひまわり8号」の運用が始まるというお話しです。

前回のコラム<冬の「すじ状の雲」の話>の続編的なお話しにもなります(もう一度読んでね!)が、今や、天気予報などで必ず目にする衛星からの雲画像・・・日本では、1978年に気象衛星「ひまわり」の運用を開始して以来、現在は「ひまわり7号」が日夜活躍していて、気象観測や天気予報には無くてはならない存在になっています。何か宇宙から見守られているような安心感がありますね。

新しい気象衛星「ひまわり8号」は、昨年107日に種子島宇宙センターから打ち上げられ、東経140度あたりの赤道上空約36,000kmに静止(※1して、日本をはじめ、東アジア・西太平洋域内の観測を今年の夏をメドに開始する予定です。

昨年12月18日には、この「ひまわり8号」から、初画像が送信されました。

(気象庁HPより)

お気づきでしょうか?

そうです!
実際に見えてる可視画像(夜間は写りません)は、カラー画像なんです!
それに、解像度(デジタルカメラの画素数イメージ)も格段にアップしていますし、観測間隔も、現在の30分間隔から10分間隔(日本付近は、なんと2.5分間隔)に短縮されます。(※2

日本付近を拡大して、同じ日時頃の現在の可視画像と比較してみましょう。
こんなに拡大しても、十分に耐えられるんですね!

ひまわり8号の画像(気象庁HPより 昨年12月18日 午前11時40分)


ひまわり7号の画像(気象庁HPより 昨年12月18日 午前11時30分)

上段の新画像は、まだ陸地の縁取りや緯度経度表示などの加工もしていないのですが、それを差し引いても、カラー画像の迫力と、すじ状の雲は、その吹き出しから日本海を渡る様子が生き生きと、そしてクッキリと目に飛び込んで来るのではないでしょうか。それと、少々見にくいのですが、写真左端の下方、朝鮮半島の南、済州島の風下に渦が出来かけている状況も確認出来ます。(※3
カラーで、しかも高解像度なので、黄砂や赤潮、火山の噴火などの識別もつくのだそうで、さらに期待感が高まります。

また、一つの積乱雲の寿命は30分~60分と言われていますので、現在の30分間隔では、その発達状況が写し出せないことが多いのですが、2.5分や10分間隔になれば、その状況が目に見えます。観測レーダーなどの性能や技術の向上と相まって、今は予測できない局地的大雨や集中豪雨について、少し前に予測が出来るようになる可能性を秘めていると思うのです。

冒頭の「今年の夏、新種のひまわりが日本を席巻するかも知れないよ」・・・
このとおりになって、皆様が気象や防災により興味を抱いていただける流れや環境が出来て行くこと・・・これが私の初夢です!

《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1静止気象衛星と言いますが、実際には静止しているわけではなく、地球の自転と同じ向きに相対的に同じ速度で周回するため、 地上から見ると衛星は赤道上で静止しているように見えるんだよ。高度36,000kmって、地球と月の距離の約10分の1、国際宇宙ステーション(ISS)は、静止気象衛星のさらに100分の1の高度約400km・・・なんて覚えるといいかも知れないね。

(※2詳しくは、以下の気象庁の資料も見てね。さらに来年、「ひまわり9号」を打ち上げて、スタンバイする予定なんだよ。
http://www.data.jma.go.jp/mscweb/ja/himawari89/
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/himawari/2014_Himawari89.pdf

(※3この渦を「カルマン渦」と呼ぶんだよ。冬の寒気の吹き出しで、済州島 (Cheju-do) や屋久島の風下に見られることがあるけど、電線のうなりや旗のはためきの原因なので、日常生活でも馴染み深い現象なんだよ。

<ゼフ>