四国の雪

皆さん、四国の冬といえば、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
黒潮洗う暖かな足摺(あしずり)岬などを想い浮かべる方も多いでしょうね。
前回のコラムでは、横浜と同じ太平洋側の名古屋で、
強い冬型の気圧配置の時に関ケ原の辺りから雪雲が流れ込んで、
大雪になるお話しがありましたが、今回は、四国の雪についてのお話しです。

意外に思われるかも知れませんが、
四国にも冬型の気圧配置の時に雪が降る地域があるのです。
標高の高い四国山地だけでなく、
愛媛県の中部【中予(ちゅうよ)地方】の内陸部や、
南部【南予(なんよ)地方】、高知県の西部の内陸でも降ります。


<上空の風(季節風)>
では、なぜ南国の四国でも冬型の気圧配置の時に雪が降るのでしょうか?
それは、西から北西寄りの冷たい空気の季節風が関門海峡を渡り、
四国西部に流れ込むことによります。

雪雲が愛媛県の南予地方に流れ込んでいる様子が、
このレーダー画像からわかりますね。

愛媛県の久万高原(くまこうげん)町などにはスキー場があり、
冬には多くのお客さんで賑わいます~もっとも人工降雪機の力を借りていますが…

先日、1月19日と24日は強烈な寒波によって西日本の各地で大雪になりました。
この時の愛媛県の雪について、少し詳しく見ていくことにしましょう。
19日は松山市の南およそ30kmの久万高原町で40cmの大雪になり、
24日は松山の南西およそ45kmの大洲(おおず)市で10cmほど積もりましたが、
どちらのケースでも、海沿いの平野の松山や今治(いまばり)では、
ほとんど降っていません。
                                                  (※1)


では、同じ冬型の気圧配置でも、
雪がたくさん降る場所に違いがあるのは、なぜでしょうか?
それは、空の上の高いところでの風向きと風の強さによります。

福岡の上空の風向きや風の強さと、
愛媛で降った雪の量との関係を調べてみると、
およそ1500mの高さの風向きが西から西北西で強くなった時、
久万でたくさんの雪が降ります。

大洲でもこの高さの風が西寄りの時に雪が多くなっていますが、
久万ほどこの関係は強くなくて、むしろ、
800mほどの高さで西寄りの風とともに、
北寄りの風が強くなった時にたくさん降ります。

いずれのケースも、風下側には大きな山並みが控えており、
上空の風は、これらの山並みにぶつかって、
山の斜面に沿って強制的により高いところへと運ばれて雲を作り、
時として南国とは思えないほどのたくさんの雪を降らせるのです。

空の高いところの風の通り道や、
風がぶつかる山の位置や高さが関係していることがわかりますね。

1月19日の久万高原町内の様子です。
まさに雪国!南国の四国とは思えませんね。

久々にユキ積もりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(写真は3枚とも久万高原町公式HP内「まちの話題」よりお借りしました。)


<上空の気温>
次に、上空の気温と降る雪の量の関係についてお話ししましょう。
先ほどの1500mの高さで見ますと、
寒くなると雪の量が多くなる傾向がありますが、
この関係はあまり強くなく、
さらに高い4000~5500mで気温が下がると大雪になります。
大洲で大雪になった1月24日の午前9時の福岡の上空およそ4000mでは、
-34.4℃まで気温が下がっています。


<大雪の条件>
2005年(平成17年)の12月も、
冬型の気圧配置が長く続いて寒さが厳しく、久万や大洲などで大雪になり、
八幡浜(やわたはま)などのみかんの産地では、
穫前のみかんが寒さと雪で傷められ、大きな被害が出ました。
この時のことを参考に、大雪が降りやすくなる条件について、
簡単にまとめると次のようになります。
・福岡の上空およそ1500m以下の風が西北西寄りで強いこと
・福岡の上空およそ4000~5500mの気温が低いこと
・およそ4000~5500m以下で空気が低いところから高いところへと昇りやすいこと

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1) 四国のアメダスでは積雪の深さは測っていないの。
□□□□□□アメダスでは降った雪を熱で融かして液体の水にして、
□□□□□□雨と同じ降水量として0.5mm単位で測っているんだよ。

 

<オカメインコ>