秋の紅葉と天候

もうすぐ秋の紅葉の季節が始まりますね。実はこの紅葉の美しさは、天候と密接に関わっているのです。美しく紅葉するには葉が色づく1,2週間前の天候が重要なポイントになります。以下の2つのポイントが満たされると葉は美しく染まるのです。

ポイントその1 晴天が多いこと 

ポイントその2 急に冷え込むこと 

それでは葉が紅葉する仕組みと天候の関係を説明しますね。

晴天が多く、葉が太陽をたくさん浴びると、葉は光合成をして栄養をたっぷり作ります。
夜、急に冷え込むようになると葉の活動が弱まります。そのため昼間に作られた栄養は、幹へ運ばれずに葉に蓄積されます。(※1)
また、冷え込むと葉を緑色に染めていた“クロロフィル”と呼ばれる緑色の成分が分解されます。

するとなにが起こるかというと、、、

イチョウなどの黄色い紅葉の場合は、
クロロフィルが分解されてしまうと、葉にあるもう1つの成分である“カロチノイド”と呼ばれる黄色い成分の色に葉が染まります。これが黄色い紅葉のしくみです。

カエデなどの赤い紅葉の場合は、
葉に蓄積された栄養を原料にして“アントシアン”と呼ばれる赤色の成分が作られます。このアントシアンの色に葉が染まります。これが赤い紅葉のしくみです。

太陽をたくさん浴びることによって色の素となる栄養が作られ、急な冷え込みによって、クロロフィルが分解され紅葉の色が見事に現れるのですね。(※2)

皆さんの住むところでは、もう紅葉は始まりましたか? それともこれからですか? 美しい紅葉が見られるといいですね。

参考文献:日本列島四季ごよみ(中村次郎著)

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

※1…葉と枝の間に離層(りそう)と呼ばれるしきりができて、栄養が幹に流れないようになるのよ。冬に不要な葉を落とすための準備なのよ。

※2…この時期に長雨や台風で葉が痛んでしまうと、葉は十分に栄養を作れず、美しい紅葉にはならないのよ。

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雲海を楽しむ

暑かった夏もようやく終わり、秋へと季節が進みました。
みなさまはこの夏どんな風に過ごされましたか?

北海道占冠村のトマムに、夏の間、雲海(※1)を楽しめる場所があります。
その名も雲海テラス。ちょっとわくわくする名前ですね。
冬はスキー場となる山の標高1000メートル付近にあるゴンドラ山頂駅がその場所です。

こちらは今年の9月に撮影した写真です。

 

 

 

 

 

 

日の出の瞬間にみんな注目です。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この雲海の正体、実は霧なのです。どこでできた霧だと思いますか?

雲海の合間に見えるのは日高山脈の山々です。
日高山脈は北海道の中央南部に位置し、その長さはおよそ南北150kmです。その東側には十勝平野が広がり、その南には太平洋がありますね。
この太平洋の上で発生した霧が風に流され日高山脈を越えてくるのです。
流されていく過程でかき回され、厚さが200mにもなり雲海として見えるのだとか。

お手元に地図があったら広げて、霧が移動していく経路をイメージしてみてくださいね。

さて、どうして太平洋沖で霧が発生するのでしょう?
南よりの風にのって湿った暖かい空気が相対的に冷たい海の上に流れてきます。すると、湿った暖かい空気が冷やされ霧が発生するのです。これを「移流霧」といいます。別名「海霧」ともいいます。

この霧がトマムで見られる雲海の正体だったわけです。(※2)

雲海テラスは6月から10月上旬まで楽しめます。
今年はもうシーズンオフになってしまいますね。
雲海が発生する確率は日々異なります。頑張って早起きしたら見ることのできる(かもしれない!?)特別な朝。来年の夏休みに、幻想的な空間を体験してはいかがでしょう。

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)雲海とは、雲がはるかに横たわっている海原のことだよ。山頂や飛行機から見下ろした時に海のように見える雲を雲海というのね。

(※2)トマムに現れる雲海は他にも種類があるのよ。地上付近の空気が放射冷却によって冷やされてできる放射霧もそのひとつです。

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