平年値って?

『今日の東京の最高気温は平年より5℃も高く、5月下旬並みの陽気に・・・』
『福岡のソメイヨシノの開花は平年より5日遅く、昨年より・・・』
このようなアナウンスをよく耳にしますね。

皆さんはこの『平年』ということばの意味をご存知ですか?

『平年』とは『平年値』を略した言い方で、年によって変わります。
2010年の平年値は1971~2000年までの30年間の平均値でしたが、2011年からは1981~2010年の平均値に変わりました。
気象庁では、西暦年の1の位が1の年から続く30年間の平均値をもって平年値とし、10年ごとに更新し現在は、1981~2010年の観測値による平年値を使用しています。
したがって2010年までは、1971~2000年の観測値を平年値としていました。(※1)

平年値は、気象(気温、降水量、日照時間等)や天候(冷夏、暖冬、少雨、多雨等)を評価する基準として利用され、その地点の気候を表す値として用いられていますが、昨年からの『平年値』、1970年代から、より温暖になってきたことを考えると、最新の平年値を上回るというのは一昔前と比べてかなり気温が上がったということになるんでしょうね。(※2)

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

※1 1981年~2000年の20年間は同じなんだね。

※2 10年分が入れ替わっただけなのに、夏の気温で0.2℃~0.6℃くらい上がったとろが多いんだね。ちょっと乱暴だけど、30年前に比べたら1℃以上上がったって感覚なのかな。

その他の比較は、ここを参照してね。(PDF)

http:/www.jma.go.jp/jma/press/1103/30a/110330_heinenchi.pdf

金環日食~リング状の太陽を見よう

新月の時、月と太陽が重なって、太陽を隠す現象を「日食」といいます。

皆既日食と金環日食図1.皆既日食と金環日食の違い

地球から見ると、月と太陽の大きさはほとんど同じなので、ぴったり重なれば、全部隠れる「皆既日食」、ずれて重なれば一部が欠けて見える「部分日食」となります。ところが実は、月は地球の周りを楕円形を描いて回っているので、月のみかけの大きさは大きく変化します。(※1)
そのため、月のみかけの大きさが小さいときには、ぴったり重なったのに太陽を隠しきれない・・月の周りにリング状の太陽が見える・・「金環日食」となるんです。(図1)
(イラスト:高部哲也氏) 

その金環日食が、次の新月5月21日(月)の朝7時半頃、日本の多くの地域で見られるのはいろいろなメディアで取り上げられていますから、皆さん、ご存じですね?(※2)

でもひょっとして、7時半前後だけの現象とか、7時半頃、世の中が暗くなるから自然に気がつくだろう、とか、その時刻に見上げればリング状の太陽が見られるだろう・・・とか、思っていませんか?

これ、全部間違いです。
まず、日食の現象自体は、地域によって異なりますが、だいたい6時半頃から始まって
だんだん欠けていき、7時半前後に最長5分間くらいリング状になり、だんだん元に戻っていって9時過ぎにもとどおりの丸い太陽になります。2時間近く続く大イベントなんです。
それから、太陽がリング状になっても世の中は暗くなりません。太陽が雲に隠されたのかな?位の変化しかなく、しかも1時間もかけて暗くなっていくので、気づくことは出来ません。そして、一番大事なのが、そのまま見上げても絶対にリング状の太陽は見えない、ということ。太陽はとても明るいので、リング状に残った部分だけでも、まぶしくて何もわからないのです。

さらに、まぶしいだけではなく、太陽を直視することは目にとってとても危険です

日食めがね図2.日食めがねはいろいろ

そこで登場するのが「日食めがね」(図2)となるわけですが、これ、かけてみるとわかるけど真っ黒ですよね?いったいどうやって、太陽を見つければいいんでしょう?ここで、役に立つのが「影」。だって、影は太陽の真反対に出来るんですから。

①両足を少し開いて太陽に向かって下を向いて立ち、自分の影の中心が足の間に来るように調整する
②日食めがねをかける
③ゆっくりと顔を上げる(図3)(写真提供:芳野 雅彦氏)

日食めがねの使い方図3.日食めがねの使い方

ほら、こんなふうにすれば、ちゃんと太陽を見つけられますね。
食の始まりから、ちょこちょこ見ることで、だんだん、欠けていく太陽を楽しむことが出来ます。(※3)

金環日食が次に東京で見られるのは、300年もあとだとか。
世紀の天文ショーを気軽に見られる大チャンス!ぜひ、正しい方法で安全に観望してみてくださいね。

《サニーちゃんのお天気メモ》

※1 5月6日の満月は、一番小さいときに比べて14%とも大きかったんだよ。
※2 どこでいつ見られるか?という詳しい情報は国立天文台のHPを見てね。
http://naojcamp.mtk.nao.ac.jp/phenomena/20120521/obs.html
※3 日食めがねをかけていても、太陽を見るのは全部足して数分以内にしてね。
    途中休んでも、ダメージは回復しないから観望時間は足し算だよ。


 

日食・月食のはなし

天体が天体に隠される現象を「」といいます。

地球から見た太陽と月の位置関係によって、太陽が欠けて見える日食や、月が欠けて見える月食という不思議なことが起こります。

日食とは、太陽が月によって隠されて見えなくなってしまうこと。
《太陽》―《月》―《地球》が一直線にならんだときに見ることができます。(図1)

   図1.「日食」のときの太陽・月・地球
宇宙から見ると「月の影が地球に映っていて、その影の中にいると日食が見られる」ということになります(※1)
太陽の見え方は変わりますが、月の後ろに隠れるだけなので、すぐにまた元の丸い形に戻ります。

イラスト:高部哲也氏

 

さて月が欠けて見えるのが月食」。
月には満ち欠けがあり、満月・半月・三日月と毎日少しずつ形が変わりますよね。
月食は三日月とは違うのでしょうか?

正解は、まったく違います!
ヒントは「月は丸いボールの形をしている」、そして「月は自分で光を放っているのではなく、太陽に照らされて光って見えている」ということ。(※2)

満月は、太陽に照らされている部分が大きいので丸く見えますが、三日月は太陽に照らされている部分が小さいので欠けて見えます。
つまり三日月の暗い部分は、「太陽に照らされていないから暗く見える」のです。
これに対して月食の暗い部分は、「太陽に照らされて光ってはいるけれど、そこに地球の影が映って暗く見える」のです。(図2)

  図2.「月食」のときに月に映った地球の影
よく見ると、普段の月の満ち欠けと月食とでは、欠けていくときの形が少し違っています。月食の暗い部分は地球の影。月食のときに月に映る影の形を見れば、地球は丸いということがよく分かりますね。

このほか、金星が月に隠される「金星食」、木星が月に隠される「木星食なんていうのもあるんですよ。(※3)

イラスト:高部哲也氏

 

 

《サニーちゃんのお天気メモ》  

※1 だから、場所によって見えるところと見えないところがあるの。

※2 太陽は自分で光っているの。地球や惑星(木星・金星など)は自分では光っていないよ。

※3 2012年8月14日の早朝、日本で「金星食」が見られるよ。望遠鏡があれば、
金星が月でかくれんぼする様子が分かるよ。


リンク:気象庁「宇宙から見る月の影」
http://www.jma-net.go.jp/sat/data/web/suneclipse_observation.html

衛星「ひまわり」から見た日食のときの地球。
動画で見ると、地球上を月の影が移動していく様子がよく分かります。