空を覆った波状雲

先月の13日のことです。
空を見上げると、一面に縞模様の雲が広がっていました。

記憶に残っている方もいらっしゃると思います。周囲からは「何か異変がおこるのでは?」なんて声も聞かれましたが、そんなことはありませんのでご安心くださいね。

波状雲は「はじょううん」もしくは「なみじょううん」と読みます。この日は、高積雲の波状雲でした(※1)。サバの背中の模様に似ていることから、別名「さば雲」(※2)とも呼ばれます。

なぜこのように波状になるのでしょう?

その成因は大気波(※3)によるものと考えられています。短い波長の大気波が地面と平行に進んでいると、大気波によって空気が上下に動かされます。このようなとき、雲のできやすい条件(気温・湿度など)であれば、空気が上昇するときには雲ができ、下降するときには雲はできない、よって波状になるのです。

波状雲は空を見上げていると比較的よく遭遇できる雲です。ただし、この日のように空一面に見られることは珍しいと思います。私も興奮して、持っていたスマホでたくさん撮影しました。

美しい雲列を写真でお楽しみください。





 《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)波状雲は帯状あるいは塊状の雲の列が並んだ状態の雲です。いろんな高さに発生し、巻積雲、高積雲、層積雲などに見られるよ。

(※2)巻積雲に細かい横筋ができて虎の文様を思わせる雲は、昔から雨の兆しとされたことから『水増雲』『水征雲』の字をあてて、「水まさ雲」と呼ばれています(*)。層積雲は畑の畝に似ていることから「うね雲」と呼ばれているのね。

 *出典: 『空の名前』 高橋健司氏著

(※3)大気中に発生する波の総称です。様々な要素により周期的な波になったり、非周期的な波になったりするのよ。

  <18号>

お天気のことば<その3> 日和

「今日は天気もよく絶好の行楽日和ですねぇ」・・・よく耳にする会話ですね。

何気なく使うこの「日和(ひより)」という言葉には、「晴れたよい天気。晴天。また、何かをするのに丁度良い天気」という意味があります。

例年、10月下旬~11月上旬には、冬の訪れ(図1)の予告編として「木枯らし1号(※1)」が吹き、その後「西高東低の気圧配置(※2)」になる日と、大陸からの「移動性高気圧(※3)」に覆われ穏やかに晴れる日が交互に現れるようになります。12月上旬までの間で後者のように穏やかに晴れる日を特に小春日和(こはるびより)」と言います。晩秋の好天を春とダブらせる・・・字を見るだけで暖かさを感じる素晴らしい言葉ですよね。ただし、俳句では冬の季語になっていますし、決して春に使う言葉ではありません。(図2) ⇒ 図は、いずれもクリックすると大きく見ることが出来ます。

その他にも、
秋日和(秋の良く晴れて爽やかな天気)」
冬日和(穏やかに晴れた冬の日)」
菊日和(菊の花が咲く頃の好天気)」
麦日和(麦の播種や刈入れに良い日和)」
霜日和(霜が降りたあとの晴天)」・・・
数々の言葉がありますが、いずれも、その季節や時季を簡潔に、しかも見事にイメージする言葉だと思います。

ところで、「日和」には、もう一つ「空模様。天気。物事の成り行き。雲行き。形勢」という意味もあります。
俄日和(にわかびより=降っていた雨が急にやんで、晴れること)」
一石日和(いちこくびより=定まらない天候)」
狐日和(きつねびより=晴れているかと思えば雨が降ったりするような天気)」
⇒これは「狐の嫁入り」を連想しますねぇ。

いずれも、穏やかな好天を表しているのではなく、判断に迷うような天気を表しているように思います。そこから日和見主義(ひよりみしゅぎ=形勢を窺って自分の都合の良い方に着こうと二股をかけること)」という言葉になったのでしょうか。これは、あまり爽やかな響きではないですね。

ともあれ、私たちは、何かイベントがある日や何かをしようとする日は、穏やかな好天になって欲しいと思いますよね。こんなときは日和申し(ひよりもうし=晴天になるように神に祈ること)」で神頼みしてみましょう。

言葉の意味は、いずれも<Yahoo!辞書>より引用しています。


《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1)東京地方で「木枯らし1号」になるには、以下の条件があるんだよ。
10月半ば~11月末の間で、西高東低に気圧配置になり、最大風速8m/秒以上の西北西
~北の風が吹くこと

(※2)日本を中心として、西の方から高気圧が張り出し、東の方には低気圧がある気圧配置で、冬型とも言うんだよ。

(※3)温帯低気圧と交互に東に移動していく高気圧(気象庁より)で、中心の東側中心に穏やかな好天だけど、朝の冷え込みが厳しく、霜が降りることもあるよ。

 

<ゼフ>