気圧と天気図のお話し

テレビや新聞でお馴染みの天気図。
「高」というのは周りより気圧が高いところで高気圧、「低」というのは周りより気圧が低いところで低気圧を表します。(図1)
これらを中心に「線」が引かれていますが、これは同じ気圧のところを繋いだ線で「等圧線」といいます。ちょうど地図で標高を表すときの等高線のようなイメージです。(※1)

また、気圧とは、その地点に掛かる空気の圧力で、海面で一番大きく(高く)、標高が高いほど小さく(低く)なります。(図2)
標準的には、海面で1気圧=1013hPa(ヘクトパスカル)=1c㎡あたり約1kgの重さで、上空5500m近辺で半分(0.5気圧)になります。概ね、海面から富士山頂あたりの標高までは、10mの標高差で1hPa変化する計算です。(※2)

気象の変化にともなって、気圧は、下降流では高く(高気圧)、上昇流では低く(低気圧)なりますので、天気図でそれを表す意味があるわけです。

うん?標高によって気圧が変わるのならば、天気図の等圧線も、地図の等高線のように標高を表す線になるのでは?標高が高い箇所はいつも低気圧のようになるのでは?

実は、天気図の気圧は観測地の気圧を物理的な計算で海面の気圧に補正しているのです。これを海面更正といって、同じ土俵で比較出来るようにしているのです。

そこで、ちょっと確認してみました。(図3)
これは先日の台風第4号が横浜に近づいたときの横浜地方気象台の気圧(海面更正後)と、横浜市内の自宅で実測した気圧の比較で、平均3hPa前後の差異がありました。自宅は海抜50m程度なので、5hPa程度低いはずなのですが、気象台と自宅との距離や観測方法、機器の精度などもあるのだと思います。

普段は、あまり気にかけない気圧ですが、高層ビルのエレベータに乗ったり、山登りや高原にハイキングに行く際など、こんな携帯気圧計(気象計)で気圧を実感するのも面白いかも知れませんね。(※3)

 

《サニーちゃんのお天気メモ》

(※1) 等高線・等圧線・・・等○線というのは、いろいろあるよね。線で繋ぐと、それまで見えなかったものが見えて来ることがあるよ。等高線の間隔が狭いほど急斜面で川が急流になるように、等圧線の間隔が狭いほど、強い風が吹くんだよ。

(※2) 標高約1000mの軽井沢では900hPa前後、標高3776メートルの富士山頂では640hPa前後だよ。富士山頂に持って行ったスナック菓子の袋がパンパンになるのは、袋の中の気圧より外の気圧が凄く低いから袋が膨らむんだね。

(※3) トンネル通過時の列車の中や航空機の離着陸に「耳がつん」とするのも気圧差が原因だよ。気圧変化で体調を崩す「気象病」という言葉もあるくらい気圧は身近なものなんだよ。

雨の日に、なんだかテレビやラジオの調子が悪い?~降雨減衰の話~

皆さんは大雨の時にラジオ音声が聞きづらくなったりテレビ映像が乱れたりしたという経験はありませんか?

これは音声や映像を乗せた電波が、雨粒などによって吸収・反射されて弱くなるためです。現象としては、音声や映像にノイズ(電気的な雑音)が発生して、雨が強くなるにつれてその量が増えます。機械が壊れたわけではなく、天候が回復すると自然に収まります。

もちろん雪(特に湿った雪)でも影響があります。またアンテナに雪が着氷した時にも影響が出ます(※1)

これを降雨減衰と言います。降雨減衰は電波の周波数(※2)が高いほど、そして伝送距離が長いほど影響が大きくなります。電波を使う身近な放送・通信システムで例を挙げましょう。

AMラジオ(531~1602kHz)、FMラジオ(76~90MHz)、テレビ放送(470~770MHz)、携帯電話(810MHz ~2.17GHz)、WiFi(2.4GHz)、衛星放送(BS・CSの送信周波数11.7~12.75GHz)の順に周波数が高くなります。

また伝送距離を比べると最小がWiFi (<100m)で、最大は衛星放送。なんと地上から衛星まで3万6000kmです。

ですから最も雨の影響を受けやすいデリケートなシステムは、周波数も高くて伝送距離も長い衛星放送なのです(※3)。衛星放送コンテンツを流すケーブルテレビも同様の影響を受けますよ。

豪雨のために見たい番組が砂嵐…という可能性もなきにしもありませんが、これもお天気の影響(※4)。地球に住む皆が平等に受ける自然現象として、涙して受け止めましょうね。

また折しも今年は稀代の天体ショーに恵まれた年です。衛星放送番組を楽しみつつ、時には、遥か大気圏を突き抜けて宇宙まで往復する電波の旅に思いを馳せてみるのも良いかもしれませんね。

出典:IPA「教育用画像素材集サイト」 http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/

《サニーちゃんのお天気メモ》

※1…豪雪地帯では着雪・着氷対策としてレドームと呼ばれるカバーがアンテナに取り付けられているのよ。

※2…1秒間に繰り返される電波の振動数を周波数で表すのよ。単位はヘルツ(Hz)で、1Hzは1秒間に1回振動する波なの。また、1 キロヘルツ(kHz) =1,000 Hz,
1 メガヘルツ(MHz) = 1,000 kHz, 1ギガヘルツ(GHz) = 1,000 MHzに相当するのよ。

※3…CS放送は、BS放送よりも衛星から発射される電波が弱いため、降雨減衰の影響を受けやすいのよ。

※4…家の近くは晴れていても、放送局付近の天気に影響を受けることもあるんだよ。